あまりもの不安に押し潰されそうになる。
然し正気の面をして。
道声会の方に昨夜電話をする。
少しの希望でも縋り付きたいのだ。
母は燕下が出来ないから栄養失調になっている。
先日、母の顔を見ていたら無性に腹が立ち暴力的欲求が沸々と、はらわたに蜷局を巻いていた。
何故に。
そちらの方向に気を逸らす。
筋力の無くなった能面の様な面持ち。
唯一だらし無く左に傾斜した口元からつつつ、と漏れる涎。
無気力に自分を見る母の眼。
介護の末に親殺しに到る心境を敗北者の様に味わされた。
今までの方法では悪循環なだけで、全くフィードバックが無い。
だから方法を道声会の方に乞うた…今の自分の心境を正直に白状して。
母が痴呆なのかどうかは、まだ判然とした訳では無い。
来週に精密検査をする。
母に今必要なのは
優しさ
であって、それはただひたすら自分自身を殺す作業でもある。
元々怒りっぽくない自分であるが流石に苛々として消耗しては時に酷い事を言ってしまう。
あまり自己嫌悪なる病は持たないが、やはりそういう時はアンフェアな、ひたすら自分に縋るしか無い母に暴力的発言を浴びせた時は自分が嫌になってしまう。
どの先生にも、道声会の方にも母のメンタル面の弱さを指摘されてきた。
矍鑠として強気な母は同時に脆弱などうしようも無さを他人に指摘されたのだが。
当たり前だが。弱い人間ほど強い仮面を被りたがるのは人の常。
精神科に通っても無駄だと道声会の方にはっきりと告げられた。
母を救う事が出来るのは、娘である自分のひたすらな優しさしか無い、と。
おだて褒めそやし母をいい気分にさせる事が唯一の方法だと。
やったろうやないか。
受けて立ったるぞ。
それでフィードバックが帰ってるならば、どんな事だって厭うものか。
辛抱強い事だけしか取り柄も無いしな。
ひたすら潜ってみてもいい。たまには息継ぎもするけれど。
たまには自分で自分に愚痴は言う。
なんの面倒も見てくれず背中を向けるか無謀な頼み事を断ると娘のくせにと悪態をついた過去の母も懐かしくはあるが。
こんな時間に母はふらふらと起き出しては便器を糞で汚しやがる。
嗚呼、という声がつい漏れる。
うちは完全にうち自身をぶち殺してみせよう。
おかん、その魚の様な眼で見るがいい。我が娘の生き様を。うちはあんたにそれを見せてやるよ。
死に土産に持って行くがいい。

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