
日本の天然林ーブナ林の価値と保護・保全の実態
河 野 昭 一 京都大学名誉教授
国際自然保護連合生態系管理委員会副委員長(北東アジア担当)
日本列島には2種のブナ属(Fagus)ブナ(Fagus crenata)と
イヌブナ(Fagus japonica)の分布が知られている。
ブナはしばしば地域的にまとまった大集団を形成し、
極相の主要な構成種をなす。
一方、イヌブナは丘陵地帯の他の樹種と混生し、
ブナのようにまとまった大きな集団は形成しない。
ブナの地理的分布は、北海道渡島半島の黒松内低地一帯、
日本海に浮かぶ奥尻島が北限であるが、
本州北部の津軽半島、下北半島から南部の丘陵地帯、
低山帯にやや広く分布し、しばしば一斉林を形成する。
本州の日本海側では、
所により海岸沿線の低木林の主要な構成をなす。
また、低山帯では天然のスギ林としてよく知られているのは、
秋田県の秋田スギ、富山県のタテヤマスギの天然林であるが
ブナとの混交林を形勢するのが特徴である。
ブナ(Fagus crenata)でよく知られるのは、
数年の間隔をおいての一斉開花、一斉結果、
いわゆる成り年現象(masting)が起こる。
風媒受粉であるが、まとまった集団を形成し、
雄性先熟(protandry)であるので、
低い確率で隣花受粉することがあっても、
自花受粉(selfing)することはない。
このような開花・結実習性が
ブナの集団維持機構とどのように関連しているかは
必ずしも明らかにされていない。
世界各地、日本各地の天然林は
依然として大規模な伐採に曝されている。
日本の天然林はすでに10%を割り込みつつあり、
現状が続く限り、次の世代のために私たちは
何も残してやれないような、極めて状況に立ち至りつつある。
その上、人間の生活活動、産業活動により
酸性降下物の放出が続いており、
日本各地、世界各地のとりわけ工業国で、
その傾向が強区、森林の衰退、現象に輪をかけている、
と言わなければならない。
私たち人類は、現在極めて厳しい岐路に
立たされていると言っても過言でない。
それぞれの国は勿論のこと
国際的な強調体制の確立が今
正にもとめられている。
日本の天然林、ブナ林は伐採してはならない。
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