激闘甲子園物語 「怪物 江川 卓」
江川は昭和47年秋の県大会と関東大会を無失点で優勝(秋季大会成績:7勝0敗 / 53回 / 被安打12 / 奪三振94 / 奪三振率15.96 / 失点0 / 自責点0 / 防御率0.00)。新チーム結成以来、練習試合を含む23戦全勝、負けなしという驚異的な成績で3年時(昭和48年)の春の選抜大会出場を手にした。ようやく怪物が甲子園に登場する。
19奪三振の鮮烈デビュー
昭和48年春、開会式直後の1回戦で、北陽(大阪)相手にいきなり19奪三振の鮮烈デビューを果たす。はじめて甲子園でベールを脱ぐ怪物に戦前から注目が集っていたが、想像以上のストレートの速さと伸びに度胆を抜かれ、日本中がテレビ中継に釘付けになった。怪物の投げっぷりはおよそ高校生とは信じがたい堂々たる風格があり、ゆったりとしたフォームから投げ下ろされるストレートの球筋は、変化球全盛の当時のプロ野球でもお目にかかれない超一級品だった。
2回戦で小倉南(福岡)から7回10奪三振、珍しく打線が奮起して大量リードの中、余裕の降板だ。続く準々決勝では、今治西(愛媛)を相手に、8連続を含む20奪三振を記録する奪三振ショーで1安打完封。8連続奪三振は大正15年夏の和歌山中・小川正太郎の記録に並ぶ快挙だった。あまりの凄さに怪物フィーバーもついに頂点に達する。
試合巧者の広島商に初失点
迎えた準決勝は、3試合連続完封の好投手・佃正樹(法大→三菱重工広島)を擁する試合巧者の広島商。迫田穆成監督(現・如水館監督)の江川対策は、(1)点をやらず相手のミスを待つ(2)ファールで粘って球数を投げさせる(3)投球テンポを狂わせるだった。江川はこの試合、広商打線をテキサスヒットと内野安打のわずか2安打に抑え込み11三振を奪うほぼ完璧な投球。しかし5回、四球の達川光男(東洋大→広島)を二塁に置いて佃がチーム初安打となるテキサスヒットを放ち、江川に140イニングぶりの失点を与える。8回、四球と内野安打で出た走者が2死からダブルスチールを敢行、捕手の悪送球で二塁走者の金光興二(法大→三菱重工広島→広島商監督)が生還。知将・迫田の狙いがズバリ的中、作新のミスが決勝点を生み1対2、江川作新はベスト4で敗退した。
▼昭和48年選抜大会・準決勝 (作新)江川卓 (広島)佃正樹
作 新 学 院 000 010 000=1
広_島_商 000 010 01X=2
怪物・江川の地方大会・主な成績
1年(昭和46年)
《第53回全国大会栃木県予選》
2回戦__ ◯足尾___ =救援5回無走者
3回戦__ ◯足利工大付 =先発8回無失点
準々決勝_ ◯烏山___ =完全試合[1] (8奪三振)
準決勝__ ●宇都宮商 =延長11回無死で四球を与え降板
=(救援投手が打たれ、敗戦投手)
《第24回秋季関東地区大会栃木県予選》
1回戦__ ◯足利工__ =ノーヒットノーラン[1] (9奪三振/1死球)
《第25回春季関東地区大会栃木県予選》
1回戦__ ◯黒羽___ =ノーヒットノーラン[2] (17奪三振/3四球)
2年(昭和47年)
《第54回全国大会栃木県予選》
2回戦__ ◯大田原_ =ノーヒットノーラン[3] (13奪三振/1四球)
3回戦__ ◯石橋__ =完全試合[2] (17奪三振)
準々決勝_ ◯栃木工_ =ノーヒットノーラン[4] (16奪三振/3四球)
準決勝__ ●小山__ =延長11回スクイズ1失点敗退 (15奪三振)
《第25回秋季関東地区大会栃木県予選》
1回戦__ ◯那須___ =先発5回無安打無失点 (14奪三振)
準々決勝_ ◯足利工__ =完封2安打 (15奪三振)
準決勝__ ◯宇都宮学園 =先発6回2安打無失点 (6奪三振)
決_勝__ ◯烏山___ =完封2安打 (10奪三振)
《第25回秋季関東地区大会》
準々決勝_ ◯東農大二 =先発6回1安打無失点 (13奪三振)
準決勝__ ◯銚子商_ =完封1安打 (20奪三振)
決_勝__ ◯横浜__ =完封4安打 (16奪三振)
3年(昭和48年)
《第55回全国大会栃木県予選》
2回戦__ ◯真岡工_ =ノーヒットノーラン[5] (21奪三振/1四球)
3回戦__ ◯氏家__ =ノーヒットノーラン[6] (15奪三振/無四球/振り逃げ1)
準々決勝_ ◯鹿沼商工 =1安打完封 (15奪三振)
準決勝__ ◯小山__ =先発8回1安打無失点 (10奪三振)
決_勝__ ◯宇都宮東 =ノーヒットノーラン[7] (14奪三振/無四球/2失策)