だいぶ更新を怠っていたのでちょっと連続気味に。最近の映画について。劇場で見たほう。
最近見た中では、『オーメン』のリメイーク版が良かった。しかしそれはちょっとショックなことだったのだ。
グレゴリー・ペックには敵わんですし、あの静かな雰囲気が好きなので私はオリジナル版を推したい。リメーク版は、いかにも視聴者を脅かせるような大音量の効果音がかなり煩わしい。映画の品性を損なっている。ダミアン少年の不気味さもないし。
ただ、物語はオリジナルに忠実で、やはりこれは見事としか言いようがなかった。ダミアンの周囲の不気味な人々、誕生パーティで飛び降りる女とか。直接的な残酷シーンは、オリジナル同様にカメラマンの首が飛ぶシーンがあるけれど、まあ、それでもスプラッタ映画のような残酷シーンは少ない。そういう怖さではなくて、もっと気分が悪くなるような閉塞的な気持ち悪さがある。入院している妻を殺すところなんて、あの気持ち悪さは類を見ない。そういうじわじわと追い詰めていく恐怖感が実によくできている。
で、最初にこの『オーメン』の面白さがショックだと言ったのは、これは過去の名作をそのままなぞったもので、新しい何かが生まれたわけではないのにも関わらず、それでも面白かったからだ。つまり、ここ数年で公開されたほとんどのホラー映画は、この過去のリメーク作品にさえ敵わないのだ。そういうことを実感したからショックなのだ。
かつて私はホラーばっかり見る映画ファンだったが、最近遠のいているのはそういうわけかもしれないと分かった。だって、全然面白くないんだもの。特に洋画ホラー。もうダメだなこのジャンルは、とさえ思った。もしかしたら、もう面白いホラー映画は作られ尽くしてしまったのかもしれない。それはショックなことだ。泣きたいぐらいに。
というわけで、誰か面白い洋画ホラー作ってくれい。邦画ホラーは黒沢清がまだ現役なので大丈夫だ。知的なホラーを作ってくれることだろう。『ロフト』のCMを見たがこれはかなりいい雰囲気だった。セルフパロディかというほど、黒沢清要素が詰まっていた。半透明のカーテンやガラスに透ける怪異の存在とか、木の陰に立っている幽霊とか。いいね、実にいい。
次は『ミッション・インポッシブル3』について。
やはりこのシリーズ、デ・パルマの1作目が面白すぎたんだ、きっと。テレビシリーズもちょこちょこ見ているけれど、全部通してこの劇場1作目だけ異様なまでに面白い。まあ、私がデ・パルマが好きだからひいき目なのかも知れんが、とりあえず、スパイなんだから、この映画は。色んな小道具使ってありえない作戦にチームで挑んでなんぼのものでしょうに。2はジョン・ウーの世界観のみで作られていて、それはそれで映画としちゃあ一定の完成度があるんだが(ハトと二丁拳銃には笑うしかない)、3はどうか。
私はシーズン1しか見ていないが、ちょっと前に流行った『24』みたいな話だのう。全編見せ場みたいな感じで確かに盛り上がるんだが。1作目のイーサン・ハントが一番かっこよかったのう。ルーサーも天才ハッカーという感じじゃなくなってたしな。イーサンは結婚したみたいだし、そろそろ別の主人公を立てて原点回帰のスパイアクション&ミステリが見たい。
次、『ブレイブ・ストーリー』。
これはだいぶ前からCMがやっててずいぶん期待していた。原作は未読。宮部みゆきは、話は面白いと思うが文がどうしても好きになれんので5、6作しか読んでいない。ブレイブストーリーもやたら長いし、アニメになれば面白そうだなと思っていたわけです。
で、見てきたのだが、これ2時間映画にするには無理があるな、という感想。富野由悠季もびっくりの展開。特に仲間たちのことが全然描けてないもんだから、これはまずいだろうと。2時間1本でいくなら仲間とかはさておき、ワタルとミツルの対立をじっくりと描くしかないんだろうと思う。
映画だけではどうにも説明不足な部分が多くて、すごく瑣末なところで「おや?」と疑問に思うことがいくつかあったけれど、でもまあ、面白かった。こういう異世界飛ばされ系ファンタジーが好きなんだな僕、きっと。小学生の頃、『魔神英雄伝ワタル』とか大好きだったし。もっと小さい頃は『ポールのミラクル大作戦』が好きだったし。
ミツルはカッコイイのう。その行動原理の描写は浅かったけれど、キャラクターとしちゃ王道だし、王道なりの魅力がある。ラスト、現実の世界に戻ってきてからのあれはないだろうと思うが。…ミツル、小学5年生か。ありえん。
次、『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』。
なんだ、この邦題は!いかん!1作目が「呪われた海賊たち」だぞ。あのダサイ邦題センスをなぜ受け継がずに、なぜいかにも最近の映画らしいアホな邦題にしてしまったのか。せめてそのまま「死者の宝箱」でいいじゃないか!ていうか、なんで「カリブの海賊」じゃダメなんだ?分からんのう。
かなり長い映画だったが、構成が全然ダメで話は途中で終わるし不必要なエピソードが延々続くし、なんの謎解きもカタルシスもないんだが、それでも面白いこの映画って、やっぱすごいよなと思った。例えば序盤の、未開人の集落から脱出するシーケンス。根っこで作られた丸い牢屋に閉じ込められたウィルたちが逃げるところ。逃げるだけなのに、すっごい面白いんだこれが。ジャック・スパロウが丸焼きにされそうなところを危機一髪で逃げ切るところも最高だ。これって、面白く見せる技術があるからだろうな、と思う。
最後でエリザベスが女の業を見せて、デップファンからは大ブーイング受けるだろうなとは思いつつも、ちょっとシリアスな展開がなかなか見所。エリザベスは本当はジャックのことが好きでたまらんのだね。本能的な部分で惹かれているから、それに気付いた理性がジャックを殺そうとするのだ。女エリザベスの業を見た。