第6回 乾燥の方法
圧搾しても湿紙にはなお60〜80%の水分が含まれているので、さらに太陽熱または火力で乾燥する。
日本で昔から普及していたのは板干しで、紙床から剥いだ紙葉を干し板に刷毛で貼り付け、野外に並べて天日で乾燥する方法である。
本来は簾に接した面があるので、この面が干し板に接するように貼る。
欲しい他の表裏両面に貼り付け終わると、干し場に運んで板架台に立てかけておく。普通冬季は半日ほど、夏季なら約1時間で干しあがる。
天日干しは燃料なしで経済的に十分脱水でき、日光で漂白されて光沢のある紙が得られるが、量産には適さないし、雨天には作業できない。
そんな欠点があっても、良紙を作るためにこの天日干しに、こだわっている紙郷が多く、「ピッカリ千両」という言葉が残っているところもある。
火力乾燥法は季節・天候に関係なく、昼夜の別もなく、紙かも量産に適するもので、鉄板製の面に湿紙を張り、湯または蒸気で鉄板を熱して乾燥する。
これは近代に考案されたもので、固定式と回転式ガある。
固定式は、断面が三角形や長方形の細長い縦型のものと、横に平らな鉄板をおいたモノとがある。
回転式は、断面が正三角形の角筒である。
火力乾燥によると、紙面は板干しより平滑になり、緊密にしまって腰が強く、均質なものが得られるが、完全に脱水されないので日時の経過につれて重量を増やしたり、和紙独特の味わいが失われる欠点がある。
古来の板干しは日本独特の方法とも言えるもので、中国や朝鮮では熟した壁面「中国で焙碧(ホウヘキ)という」を用い、西洋では室内の縄とか竹にかけて乾かしている。