年明け、芝浦と場のと畜解体作業を見学させて頂ける機会があり、品川駅から歩いてすぐの所の東京中央卸売市場食肉市場に行きました。そのレポートをしたいと思います。
食肉にされる牛は和牛で、黒毛和種というものでした。ここではこの種の牛を1日当り430頭を肉や皮の状態にします。豚のと畜解体も行っていて、こちらは1日1400頭。1日でこれだけの頭数を扱うこともあって、と畜解体作業は相当な効率の良さの中で行われていました。
生きている牛を食べる肉にしていくってどういうことなのか、殺してさばくって言えばなんとなく分かった感じもしますが、でもやっぱり実際はよく分からない。こういう流れを見る機会はそう滅多にないと思い、不安も抱えつつ見に行きました。その大部分の不安を軽くしてくれたのは、と畜解体作業のスピーディーさ、職員の卓越した技術でした。今回はこの牛の解体作業について書こうと思います。
けい留所という所にはたくさんの牛がいて鳴いています。牛の目を見ていても何を考えているかは分かりません。牛の耳にはタグがつけられて、これは個体識別の為だそうです。お店で売られる時にどこで育てられた牛だと分かる様に、解体中はそのタグをつけて作業を行います。けい留所と作業所は分厚い扉で仕切られています。これは衛生の為だそうです。この「衛生」に対する考え方は、作業中常について回ります。生肉を扱っているということもあるでしょうが、O-157とBSEの対策が大きな原因とのことです。しかし、O-157やBSEに感染した牛肉や豚肉を食べた結果、人がO-157やBSEに感染する、と確定的に言えない現状があります。感染した肉を食べることで人にも感染することは否定できない、という状態です。そこで、食肉を進めていく対策として、数値として計測しにくい「安心」というものに対して相当大きな力を注いでいて、新しいと畜場法が出来上がり、現場の人間はそれに対して大変な労力を注ぐ、というここ十数年の流れがあるようです(衛生対策に批判をしているわけではありません)。
さて、ノッキングペンという場所が最初の作業行程の場所です。牛1頭分のスペースに牛が入り、そこで額を打ちますが、殺さずに空砲銃撃というもので気絶させてその後の作業を行います。BSE対策以前は、この段階で脊髄を破壊して動かないようにしていたとのことですが、現在、BSE問題の為に脊髄は取り除いて焼却処分することに決まっています。つまり気絶しているとはいえ、神経が残っているためにまだ牛は動きます。この段階でのどにナイフを刺して血を出させ、気絶している間に失血死させますが、おどろくほどに大量の血が流れ出ます。生きている状態からの放血でないと血が完全に出きらないそうです。血が残っていると肉の味が落ちるらしく、そうなると値段も下がります。またナイフを入れる時に他の部位に傷を付けてしまえば、それはそれでまた値段が下がるようで、とても大事な作業とのことです。牛は放血の時は暴れて、足を激しく動かします。作業中の職員が蹴られることもあるそうで、作業側にとって危険な行程です。その後、血が完全に抜けきるともうほぼ動きません。この作業を目の前にして血の気が引きましたが、職員の手さばきはスピーディーでどこを刺せばちゃんと放血出来る、という技術に支えられていて、そこに頼もしさを感じ、最初に感じていた不安が少し軽くなりました。ちなみに、うしやさん(牛担当)の職員の方は皆男性で屈強な人ばかりでした。豚も重いでしょうがとくに牛は重く、皮を剥ぐ時にも相当の体力が必要らしく女性は難しいとのことです。さらに、胃の内容物が逆流しないように、プラスチックの道具をのどを奥に詰め込み食道を縛ります。その後の行程では、トロリー(懸垂式モノレール)に吊るしての解体が続きます。
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