アンデルセン「絵のない絵本」
まぁ・・・一応資料という形で載せておきます。
・・・・略・・・・
月は私のところに来るたびごとに、その前の晩か、その晩に見たことをあれこれと話してくれるのでした。
「さぁ、私の話すことを、絵におかきなさい」と、月は、初めて訊ねてきた晩に、言いました。
「そうすれば、きっと、とてもきれいな絵本ができますよ」
そこで私は、いく晩もいく晩も、言われたとおりにやってみました。
・・・・略・・・・
(ここから先は反転させて読んでください。)
第二十八夜
「海は凪いでいました」と、月が言いました。
「水は、わたしが帆走っていた澄みきった空気のように、透き通っていました。私は海面よりもずっと下に生えている珍しい植物を見ることが出来ました。それらは森の中の巨木のように、幾尋もある茎を私の方へさし上げていました。魚がその頂の上を泳いでいきました。
空高く野の白鳥の群れが飛んでいました。その中の一羽は翼の力がおとろえて、だんだん下へ沈んでいきました。その眼は次第に遠ざかって行く空の旅行隊(キャラバン)の後を追っていましたが、翼をひろくひろげて、ちょうどシャボン玉が静かな空気の中を沈んでいくように、沈んでいきました。やがて水面に触れました。頭を逸らして翼のあいだにつっこむと、おだやかな湖に浮かぶ白い蓮の花のように、静かに横たわっていました。
やがて風がふいてきて、キラキラ輝く水のおもてに波をたたせました。すると、水のおもては、まるでエーテルのようにきらめいて、大きな広い波となってうねりました。そのとき、白鳥が頭を上げました。キラキラ光る水が、青い火のように白鳥の胸や背を洗って飛び散りました。暁の光が赤い雲を照らしました。白鳥は元気を取り戻して立ち上がると、のぼりくる太陽の方へ、空の旅行隊の飛び去った青みがかった岸辺をめざして飛んでいきました。
ただひとり胸に憧れをいだいて飛んでいきました。青い、ふくれあがる波を超えて、ひとりさびしく飛んでいきました」
(出典/新潮文庫 訳:矢崎源九朗 「アンデルセン・絵のない絵本」より)
本文の方は著作権とかの関係上反転させました。
反転の意味が分からない方はごめんなさい。直接私の方に聞いてください。
樽谷さんの「絵のない絵本」の題材となった部分です。
とても綺麗な言葉が使われているのでぜひぜひ買って全部読んでください。
ちなみに私は買いました。税込300円なので夏休みのお供に是非。

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