マンガ日狂組の教室
出版社が「売れる!」と判断したのか、この頃増えてきた保守系の思想を漫画で解説した一冊。この「マンガ 日狂組の教室」は、「日教組」にのみターゲットを絞った解説マンガです。
中身ですが、日々インターネットを巡回しているネットジャンキーからしれみればこれといって目新しい情報はありません。みんな知ってることばかり。
でも、こういうのをマンガという形式にして誰でも手に取れる形式にすることが大事。
しかし、「既に知っている人間は買う必要は無い」と言ってしまっていいかというと、…必ずしもそんなことはありません。
逆の意味でのプロパガンダ漫画でありながらひねりの効いた演出と嫌がらせみたいな皮肉に、気合の入った作画によってかなりの迫力を持つ読み応えたっぷりの作品となっています。
ちょっと見てみましょう。
ポイントの一つは、学校の教師として出てくる連中が
どっかで見たような人たちばっかりであること。
Σ(゜Д゜)…。
このおばさんは一応地理の教師らしいのですが、地理そっちのけで過去の日本の蛮行を捏造ありありで教えまくる問題教師。
生徒達もすっかり洗脳されています。
転校生の村上宏一が日教組に犯された学校の異常性を、志のある教師と生徒と共に論破して行く…という構成を取っています。
ぶっちゃけこういう連中は都合の悪い指摘をされると、全く人の話を聞かなくなって訳の分からん事をわめき散らし始めるので、このマンガのように大人しく論破されるとは思えませんが、そこはまあ、マンガなので。
ちなみに、この「小物」を論破すると次にこんなのが出てきます。
;; *´∀`)…
どっかで見た様なツラ…もとい、お顔ですね。
好々爺を装ってますが、歴史認識となると表情が一変します。
…平日の23時頃を思い出しますが…気のせいでしょう。多分。
まだまだ続きます。
日教組のお家芸といえば「歴史認識」ともう一つ「ジェンダーフリー」ってのがありますが、…ちゃんと出てくるんですねえ。
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚)
まあ、この辺までだと「有名人パロディの風刺を利かせた保守思想コミック」なのですが、
ここからちょっと風向きが変わって来ます。
…はて?この福山先生は前の章で狂信的なほど日本軍の残虐性を強調していた
日教組の闘士だったはずなんですが…。
どうやらこのマンガではそれぞれ「得意分野」が決まっているらしく、「得意分野」以外では「常識側」に回るんです。
もっと言えば、より「我々の側」に近くなるんですね。
つまり、「同じ日教組教師ですらドン引きするほどの異常性」をそれぞれ強調するという演出構成になっている訳です。
普通この手のマンガで
「福山みずき」などという名前で日本軍の悪行を強調する役割を負っているキャラクターなんてのが出てくれば、それは通り一遍のステレオタイプのものにしかなりません。
というかしません。
しようが無いんですよ。
ところが、こういう複雑な役割を負わせた為に、我々の様な保守側の読者にも若干の感情移入を許すんですね。
どうにか「ジェンダーフリーにトチ狂ったフェミ教師」も説得にも成功するんですが、遂に悲劇が起こります。
この学校の校長が自殺未遂を引き起こすのです。
あ、さっきの筑田ってのは校長ではないので。
ここでも「福山みずき」はおのれが引き起こしてしまった事態に戦慄する…という
人間臭いところを見せてくれます。
この「日教組の強い学校での校長の自殺事件」というのは実際に起こった事件を元にしています。スキャンしていませんが、冒頭の入学式における「日の丸・君が代」反対運動騒動でも、洗脳された生徒が校長を糾弾する先鋒に立っており、この当たりもよく取材して描かれている漫画です。
さて、遂に物語は確信に突入します。
ここまで学校を腐らせた元凶の正体が暴かれるのです!
「その名は日教組!」
ったってこんな漫画を手にとって読む様な人間は全員知っている訳ですが、この漫画においては「隠された真実」という位置づけです。
面白いのはここでも福山みずきは驚いていること。
更にはこんなことまで口走ります。
どうやら福山や但馬といった人物たちは、
純粋におのれが教えていた事柄は「正しい事」だと思い込んでいたピュアな人間…という描かれかたをしている模様なんです。
ここは結構大事なポイントです。
どれだけ純粋な思い込みであろうとも、目的が間違っていては仕方がありません。特に「歴史認識」などに関して言えば、日教組が使っている資料などには単純な事実の間違いが大量にありますんでそこは正していただきたい。
とはいうものの、歴史の反省が全く必要ない訳では無いし(もう充分だと思うけど)、歴史的に女性が抑圧されてきたのは事実だからある程度の主張は必要でしょう。
ところが、どうも「日教組」を始めとした「政治団体」「思想団体」というのは、「それらをダシにして」何らかの私的な欲望を満たすという風に使っている…ということらしいんです。
この漫画では「日教組こそ諸悪の根源」としながらも、なお「黒幕がいる」と主張します。
そう、それがあの筑田なんですね。
修学旅行で生徒達を謝罪旅行させた学校のことは有名なんですが、それを暴露した瞬間、自ら率先して行きそうなキャラだった福山すら衝撃を受けます。
…そんなこと常識だと思ってたんですが…驚くってことは、要するに彼女は「純粋に贖罪の為」に学生に謝罪旅行をさせるのは構わないけど、引率する教師の私利私欲の為にさせることは許せない!というピュアな心根を持つ人間だったんですね。
読んでいてこの漫画がちょっと違うなと思ってたんですが、この辺の考え方によるでしょうね。要するに「本当に純粋な人間」に対しては視線が優しいんですよ。例え極左の反日教師であっても「それが純粋に正義だと信じている」人間は「日教組に騙された被害者」という描き方をしているんです。
遂にクライマックスに至り、「騙されていた」ことに気が付いた但馬すら「こっち側」に転向し、「悪の黒幕」である筑田を問い詰めます。
この、屋上で追い詰められる筑田の場面の迫力はかなりのもの。
遂に筑田は、好々爺の仮面を脱ぎ捨ててその恐るべき本性をむき出しにします。
やっぱり漫画ってのは気合ですよね。
左下の福山の表情とか、到底「パロディキャラ」のそれではありません。
この最終章には背筋の凍るような迫力があります。
雷雨の中、雷鳴と共に共産主義者どころか主体思想の信奉者であったことすら吐露してしまうこの下り!
…ということで、結構読み応えのある一冊だと思いますので是非どうぞ。
エピローグに至って、モデルたちからすると考えられない展開を迎えます。
…ここで、これまで全く出てこなかった『朝日新聞』という単語すらさらっと出してしまうのが素晴らしいです(爆)。
モデル達の顔の剣も取れて、序盤で日本軍の蛮行を言い立てていた時とは別人みたいです(^^;;。
基本的にこの作者の方は決して人間不信にはなっていないんでしょうね。
なんと、あの「悪の黒幕」すらこの有様です。
実際にこれほど話の分かる人間ばかりならばいいのですが、現実はそんなに甘くありません。
しかし、とても後味のいい漫画です。
大抵この手の保守系のムックや漫画は読んだ後現代日本の惨状に暗澹たる気持ちになるもんなんですが、たまにはこういうのもいいでしょう。

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