
『機動戦士ZガンダムII 恋人たち』
まず俯瞰的に見ると、話は第1部よりはだいぶゆとりがある。17話から32話までの総集編、と考えれば明らかに第1部を超える内容なのだが、思い切ったカットが多い。また逆に『シンデレラ・フォウ』や『ハーフムーン・ラブ』にはちゃんと時間を使っている。だから、第1部みたいに全編ちょこちょこと出てきてはすぐに次の場面、みたいな展開の速さは感じられない。まあ、1部はそれが魅力的な部分でもあったのだが。だからこそアクションが活きていたし、Gacktの主題歌もぴったりでひたすらカッコイイのだが、2部はだいぶ違う。ああいうスピーディなアクション活劇ではない。
開始直後のシャアが宇宙に帰還するところまでは、1部を受け継いだ矢継ぎ早のアクションが楽しいが、フォウが出てくる辺りからドラマが動き出して、後半の宇宙に出てからなんてもうTV版そのものといった感じのどろっとした感触が支配する。やっぱ『Z』なんだ、と思わされたが、TV版との比較は容易ではない。これはある意味ではTV版そのものなんだけれども、新訳として別の映画になっているとも言える矛盾した印象がある。映画冒頭部分がまったくの新作だからそういう印象があるのか。フォウのあたりはもうまるで別の作品だと考えてもいいぐらいだし、カツもそんなに腹立たしいキャラクターではなくなっているし、ファもちょっと可愛い。アーガマの人間模様もだいぶ丁寧に書かれていて、この辺りは全然TV版にはない描写のオンパレード。ヘンケンとエマの関係はコミカルな数場面が加えられてそれがまた印象的だし、レコアとシャアの関係なんて結構掘り下げられている。カツのサラの関係も然り。
カミーユがちゃんと主人公になった。ざっくりカットを入れたおかげでシャアも結構ずっと出てて準主役の座を守っている。アムロは全然出てこないけど、これはTV版も劇場版も含めて『Z』という物語が抱えている最大の矛盾であり欠点だ。アムロは本当は出てこなくてもいいはずなのだ。この問題については後々触れたいと思う。
で、「ガンダムが奏でる最高のラブストーリー」なのか? っていうと別にそんなことはないでしょ。フォウのくだりは前半だけだし、後半は恋愛っていうより政治色の強いいかにも『Z』って話になる。
絵に関しては、1部で免疫ができたのか、あまり新旧の混在は気にならない。でも今見なおしても1部の絵の混ざり具合は不自然だからな。それはやっぱり1部の旧画の質がひどかったのと、新画があまりにも綺麗だったことだ。当然TVなので回によって質が全然違う。よりによって、1部は絵が下手な回が旧画のまま残っていることが多かった。しかし2部は違う。旧画が残っているのは上手い部分ばかり。しかもフォウの部分はほとんど書き直されているし。サラに不満が残ると言えば残るが、何より実は新画がそんなに上手くないんだ、これが。せっかく書き直してるのに、あんまり上手くないところが結構ある。1部ではあれだけ圧倒的だったのにな。ちょっと質が落ちてる。でもおかげで新旧の合成が自然に見えてきた。戦艦がCGで描かれてるのはさすがに凄かったが。

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