人々にメシアと担がれた
俺もそれを信じて疑わなかった
そう、あの運命の日まで
あちこちに光が見えた
光っては消え、消えては光った
それは明らかに星の光などではなく、人工的なものだった
宇宙戦闘機は2組にわかれているようであり、片方が片方を押しやっていた
1機、また1機と沈められていった
圧倒的だった
まるで大人が子供の相手をするように圧倒的なのだ
戦闘機間にそれほどまでに能力差があるわけではない
しかし、彼らには恐れ、怯えと言った感情がなかった
恐れがないから敵の砲撃にかまわず突っ込める
怯えがないから通常をはるかに超える速さで機体を動かせる
それだけで戦闘機はまるで違う生き物に見えるほど、その機動性に差が出ていた
押されている側には少なくとも恐怖の色が濃く出ていた
仲間が撃墜されればされるほど、戸惑いを隠せなくなった
しかし、それだけの戦果をあげながら、彼らは歓喜の声すら上げなかった
そして瞬く間に残り1機となった
ついに最後の1機もなすすべなく撃ち落とされ、反抗する勢力はなくなった
しばしの静寂に包まれた
残骸には『セカンド・アース』の軍のマークが見られた
突如現れたレーダーの挙動に1人の兵が気づいた
刹那、ひとつの戦闘機が2つに割れ、爆発を起こした
混乱の渦に包まれている戦闘機群の前に“それ”は姿を現した
“それ”は中心の影から腕と足を伸ばしている
だが“それ”のフォルムは人の形とは明らかに具合が違う
中心の胴体に当たる部分はひし形であり、頭部に相当する部分は見当たらず、手足が細くて異常に長い
両腕の先には砲身がそれぞれ1門ずつ見え、人の両肩に当たる部分にはミサイルが配され、胸にはパネルのようなものが見え、背中から大型の砲身1門をのぞかせていた
外観からは見えないが、脚部と胴体の付け根付近にもミサイルが内蔵されている
全身に兵器がちりばめられていたのだ
ふいに右腕にある砲身が光った
そうかと思うとまた1機が2つに割れた
すでに2機がくず鉄と化した現状にあって、彼らにはやはり恐怖という言葉は存在しない
それ以上に感情と呼べるものが存在しないようだった
すぐさま編隊を組み直し、反撃に打って出た
右腕の砲身から放たれたビームが1機と交錯する
他の5機は何事もなかったかのように突っ込む
2機から放たれたミサイルが“それ”を捉えた
ミサイルが激突
しかし防ぐために当たった右手にわずかに損傷が見られるだけだ
それを確認する間もなく左腕から薙いだビームが2機を葬り去った
残り3機
1機が無謀にも真正面から突っ込んだ
虚をつかれたのか反応できない
次々とミサイルが着弾する
1発が右脚部に飛んだ
足が吹き飛ぶ
なおも攻撃の手は緩まない
猛スピードのまま胴に突っ込む
貫通した!
爆発し、辺り一面が光に包まれた
だが次の瞬間、爆発の光の中から一際大きなビームが2機を包んだ
一帯は再び静寂に包まれた
その場には腹に穴の開いたロボットが残されているだけだった