なかなか梅雨が明けない今年。
遠く離れた海でエルニーニョ現象が発生しているらしく、その影響で太平洋高気圧の勢力が強まらないことが原因らしい。
その影響は梅雨明けだけにとどまらず、冷夏をもたらす原因にもなるという。
冷夏。
そう、あれは1993年。
あの夏も雨が多く、記録的な米不足に陥った日本列島。
そんな夏。
僕はmark-nやその仲間たちと連れ立って四国一週ツーリングにでかけた。
晴れたのは初日くらいで、あとはずっと雨や霧の中を走った記憶が大半をしめる。
そもそもバイクは自動車とは違い、肌で自然を感じ取れることが魅力である。
ピリッと引き締まった冬の空気に気持ちも引き締まる冬の風。
麗らかな日差しの元、膨らむ花の蕾と共に気分も高揚する春の空気。
さんさんと降り注ぐ日差しに照らされて全てが輝いて見える夏の青空。
日本特有の秋の色に目を奪われ、日本に生まれてきた幸せを感じる秋の大地。
バイクに乗るということ。
それは持てる五感をフルに活用し体全部を刺激するということ。
何物にも変えがたい快感がそこにはある。
ただそれは
晴れた日の話。。。。。
しかしあの夏。
若かった僕たちは
悪天候を物ともせず
ただひたすらにバイクを走らせ
くだらない話に花をさかせていた。
冷たく体を打つ雨などまるで気にならなかった。
1993年・夏。
若かったからこそ過ごせた僕たちのあの夏。
そんな思い出を吹き飛ばすような出来事がこの週末にあった。
目的地は和歌山県某所。
用件はmark-nのCBを加工依頼することと、この世によみがえった『はり子』こと我がCBR250R-1をお披露目することである。
天気予報は曇り時々雨。
今にも泣き出しそうな空を見上げながら僕は心に決めた。
『いける。俺とはり子ならいけるさ。どんな雨だって駆け抜けてみせる』

不安げに見つめるmark-nをよそにはり子で走り出す僕。
まずはレインスーツを購入するため市内某店に滑り込む。
決して弱気になったわけじゃない。
なんならレインスーツ無しででも和歌山にたどり着く自信さえあったのだ。
だがmark-nの不安げな目を見ると彼を安心させてやりたい気持ちになっただけだ。
開店と同時にレインスーツを購入し速攻で着込む。
早速僕とはり子は東へとバイパスを進む。
途中小雨にあうものの大したことは無く、制限速度〜で快調に走る。
神戸に到着する頃にはすっかり雨も上がり、青空さえ見え始めた。
『暑いぜ、ったく。ベンチレーションも効きやしねぇ』
快調に走るはり子。
心地よいインラインフォーサウンドと共に僕を現実社会から遠ざけてくれる。
だが。
今思えばその方向は多少間違っていたようだ。
それに気づいたときにはもう遅かった。
僕は全身を使って自然を満喫することになったのである。
目指す大阪方面の空は鉛のように黒く、強烈な雨は小さなはり子を嘲笑うかのように襲い掛かってきた。
『痛いっ!』
体を打つ雨がとんでもなく痛い。
『いやぁ雨に打たれちゃってさぁ』なんてほざいてるゴルフ親父を殴ってやりたいくらい痛い。
瞬く間に湾岸線は地上の川と化し、海沿いの強烈な風がはり子をもて遊ぶ。
『怖いっ!』
周りの4輪車ですらペースを落とすほどの状況。mark-nが操る大きいはずのハイエースがどんどん小さくなっていく。
『待ってぇ(涙)』
これほどまでに心細く、そして何よりこれほどまでにmark-nを頼りたいと思ったことが今まであっただろうか。
『とぉちゃぁ〜んっ!』
前後不覚とは正にあのこと。目の前の景色は雨と霧で霞み、気持ちもナエナエ
とにかく五感全開を通しこして泡吹きそうなくらいに自然の猛威を感じ取ったのである。
何物にも代えがたい恐怖。
バイクにはそんな力も隠されていたのだ。
あははははぁ・・・・・。
バイクでなんか来るんじゃなかったぁ
そう嘆いてみても
After the festival
正しくは The damage is already done。
ヘロヘロになりながらたどり着いた和歌山某所はいつも以上に楽園に思えた。
リアルハリケーン襲来。

この夏の思い出になることだろう。
追伸・・・・くにすけ氏・NORI氏、その他の楽しいお仲間のみなさん。
ワタクシたちは無事に帰宅し実生活に戻っています。
ただひとつ問題があるとすればmark-nが風邪をひいて倒れているということくらいです。
当日あった出来事はヤツが復活し次第UPさせますので乞うご期待っす。
ありがとうございました。

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