2009/5/5

第100話『守りきる意志』  12月編
ドンッ

「え?」

急に横から衝撃を受け、俺も目黒も吹き飛ばされた。

その衝撃の元と思われる方を向くと、そこには・・・犬彦先生がいた。

そして次の瞬間、衝撃のようなものが犬彦先生の胴体を貫通した。

「グッ!」

「犬彦先生!」

俺達を助けたから・・・こんな目に!?

ここは何とか助けないと・・・

「来るな!」

今まで見せたことのない剣幕で犬彦先生は叫んだ。

「で、でも・・・」

「これぐらい・・・大丈夫だ」

そう言われても・・・とても大丈夫そうに見えない。

「ハハハ、いつまで強がっていられるかな?」

この状況に、駒込はただ嘲笑しながらこちらを見ていた。

「・・・いつまでもだよ!」

その叫びと共に、犬彦先生は駆け出した。

そして『ギガンティック・シザース』で攻撃しようとした。

「でもそんなの・・・無意味だよ!」

駒込は『ギガンティック・シザース』を軽々と受け止め、更に空いている手を犬彦先生に向けた。

またあの衝撃を放とうとするのは、目に見えていた。

「お前こそ、それは無意味だ!」

すると次の瞬間、背中に繋がった『ギガンティック・シザース』を外した。

それを受け止めていた駒込は体勢を崩した。

その隙をを突いて・・・犬彦先生は思いっきり殴った。

駒込はそれをまともに受け、壁まで一気に吹き飛ばされた。

流石犬彦先生、でも・・・あそこまで吹き飛ばせるというのは予想外だ。

「う、上野君、アレ・・・」

目黒が何かに気付いたらしく、犬彦先生を指差した。

差したところを見て、俺は動揺した。

「き・・・強化?」

犬彦先生のリストが、赤く光っていたのだ。

それを意味をするのは・・・強化しているということだ。

「ハハハ、ついに本性を表したね、犬彦君」

壁に激突した駒込が立ち上がりながら言ってきた。

「ど、どういうことだ!」

それに疑問を感じた俺は、率直に疑問をぶつけた。

「どういうも何も、簡単なことさ。彼は『E計画』の被験者だったんだよ」

「・・・え?」

そんな・・・嘘だろ?

「・・・あぁ、確かに俺はあの時色々と実験台にされ、そこから多大な力を得た。これがその1つだ」

犬彦先生はリストを見せながら言った。

「そうだろ、そして君は未だその力を手放せずにいる。僕たちと同類なはずなんだよ!」

「・・・何を言ってやがる」

駒込の言葉に反応するかのように、犬彦先生から怒気が発せられた。

「こいつはな・・・お前達のように自己満足で持つもんじゃないんだよ」

「何?」

「この力は・・・守りたいものを守るために使う力だ!」

そう言葉を発してから、犬彦先生は駆け出した。

「そうかい、ならそれこそ無意味だって教えてあげるよ!」

駒込も同じく駆け出し、互いにぶつかり合った瞬間にそこから衝撃が発生した。

「うわ!?」

その衝撃に俺はこらえることしか出来なかった。

更にそのぶつかり合いは何度も続き、その度に衝撃が部屋中に伝わった。

もうこれは・・・俺達が手を出せる次元じゃない。

「ふ、2人とも、大変です!」

後ろからガジコさんが声を掛けてきた。

「ど、どうしたんですか?」

「この施設の最深部から・・・サイクロプスの起動が検知されました」

「え!?」

ここでサイクロプス・・・このままでは、巻き込まれてしまう。

「幸い、地下深くのため市街地に被害はないですが、この施設の全壊は確実です。早く撤退を!」

「わ、分かりました!」

犬彦先生に関してはもう止める術はない。

ここは俺達だけでも・・・

「ぁ・・・ぁ・・・」

ここで俺は目黒の様子が更におかしくなっていることに気付いた。

「め、目黒?」

「ぁ・・・ぁぁ・・・」

・・・そうか、目黒は1年前の任務でここで起こったサイクロプスを見ているんだ。

そして・・・そこで大切な人を失った。

そのトラウマがここでよみがえちまったんだ。

「・・・しっかり掴まっているんだぞ」

俺は目黒を抱きかかえた。

元々小柄な体のおかげで、それ自体は特に苦に感じることはなかった。

「さぁ、行きましょう!」

「はい!」

俺とガジコさんは、そのまま撤退を始めた。



「ハハハ、ここまで本気の君と戦えるなんて、とても本望だよ!」

「あぁ、そうかい!」

3人が撤退した後も、犬彦先生と駒込の戦いは続いた。

「だけど、そういつまでもやり合っているわけにもいかないんでね」

その一言を放ってから、駒込は動きを止めた。

「どういうつもりだ?」

「君はともかく、僕はまだやるべきことがあってね。ここで失礼させてもらうよ」

「な、待て!」

その犬彦先生の叫びは届かず、駒込はすぐに瞬間移動して姿を消した。

「・・・俺も行くか・・・ウッ!?」

急に犬彦先生は膝から崩れ落ちた。

「・・・ここまで、か・・・」

半分諦めた気持ちで、犬彦先生は呟いた。

その時だった。

ドォン!

急に天井から大きな光線が貫いた。

それによって出来た穴から、羅印が降りてきた。

「ら、羅印さん?どうして?」

「悪いですが、後をつけてきました。・・・少なくとも、アンタはここで死ぬべきじゃない。違いますか?」

「・・・かもしれないですね」



「犬彦先生・・・まだですか?」

さっきから『プライベートメッセージ機能』を用いて問いかけているが、返事が返ってこない。

一体・・・何が起こっているんだ?

「あと・・・1分以内にサイクロプスが発動します」

「・・・クッ!」

俺達には何もすることは出来ないのか!?

ドォン!

急に近くの地面から光線が発せられた。

それで出来た穴から・・・犬彦先生を背負い込んだ羅印さんが飛び出してきた。

「羅印さん!?」

「・・・間に合ったみたいだな」

羅印さんのその一言と同時に、地響きが起こった。

どうやら、サイクロプスが今発動したみたいだ。

「・・・すまないが、奴は逃がしたみたいだ」

「・・・でも、犬彦先生が無事で何よりです」

「かもな・・・」

「とりあえず、後処理は私がやります。皆さんはお帰りください」

「分かりました。犬彦先生も、早く帰ってあげて・・・」

俺がそこまで言って、気付いた。

犬彦先生から全く生気が感じられないことに。

「・・・先生?どうしたんですか?」

「・・・・・」

俺の言葉に、先生はまったく反応をみせない。

「先生、どうしたんですか!?先生!!」

しかし、俺の呼びかけに先生が答えることはなかった。



ピシッ

「あ、アイツのコップが・・・」

とあるマンションの一室。

そこで食器の準備をしていた蝶子先生が持ったコップに突然ヒビが入った。

「・・・何もなければいいんだけど」

そう呟いて、蝶子先生は窓の外を見た。



しかし、その思いが叶うことはなかった。
1

2009/5/5  23:36

投稿者:晴天決行
ついに100話行きましたね。
おめでとうございます!

2009/5/5  22:46

投稿者:ぎ○○い
ヽ(´・∀・)ノ

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