2009/10/27

第140話『終わりなき未来のために』  エピローグ
・・・いい天気だ。

潮風も気持ちいい。

こういう日に行うことが出来て、今日は本当についているな。

それだけでも、十分に嬉しい。

・・・だけど、ここまで来るのに、時間がかかりすぎたな。

よく愛想を尽かされなかったものだ。

「どうした、新郎」

突然の声に、すぐ反応して振り向いた。

「か、神田さん」

「まだ嫁さんの準備は整ってないのか?」

「えぇ。もうそろそろだと思うんですけど・・・」

本当は緊張で硬い顔で無理矢理笑顔を作った。

「だが、よくこんなところでやろうなんて考えたな」

「たまたま、これの使用許可が取れたもんで・・・でも悪くはないでしょ?」

「だな、お前にしては珍しいことに」

そんな会話を交わす俺達の前には、海が大きく広がっていた。

船上での披露宴・・・中々洒落ている。

しかも、ただの船ではない。

先日世代交代が行われたばかりの・・・引退直後の初代『ハンドレッド・フラワー』。

戦艦にしてはフリースペースが広いことから、こういった催しでも十分活用出来る。

それに・・・俺達にとっては思い出深いものには違いなかった。

その上出席者のほとんどはエンドレスバトラーかその関係者。

ここでやることに反対な人はほとんどいなかった。

「だけど・・・お前達が羨ましいよ」

「え?」

突然の神田さんの言葉に、つい言葉に出して驚いてしまった。

「俺の方は、まだ相手の親御さんの説得が出来なくてな・・・出来るのは当分先さ」

「あ・・・」

神田さんと大塚さんのことは一応聞いたことがある。

まだ、折り合いはつかないのか・・・。

「だからさ、お前達と同じゴールが出来るよう頑張らせてもらうよ」

「・・・応援してます」

「あぁ、ありがとうな」

「上野さん、準備出来ましたよ」

後ろから渋谷の声が聞こえてきた。

「じゃあ、先に行って待ってるな」

「はい・・・司会、期待してますね」

「任せておけ」

それだけ言って、神田さんは行ってしまった。

とりあえず、俺は声のした方へと足を進めた。



「・・・・・」

つい言葉を失ってしまった。

一度は衣装合わせの時に見たが、やはり改めてみるとここまで綺麗なものかと思ってしまう。

この目黒のウェディングドレス姿を・・・。

あ、もう目黒とは呼べないんだった。

早く名前で呼べるよう、注意しなくてはな。

「じゃあ私たちは先に行ってますね」

「あ、あぁ。ありがとな」

それだけ言い残して渋谷や他のスタッフは部屋から出て行った。

「・・・どう?」

皆出て行ってから、そう聞かれた。

「あぁ。綺麗だよ」

「フフ、ありがと♪」

そう言ってから、突然笑みから寂しい瞳へと変わった。

「・・・この姿、お姉ちゃんに見せたかったな」

「あ・・・」

唯一肉親と呼べたのは目白さんもいない今、ここまでの成長を喜んでもらえる人はいなかった。

だけど、俺は思う。

「・・・きっと、天国で見ていてくれるさ。犬彦先生や、会長達と一緒に」

「・・・うん、きっとそうだね」

再び瞳に笑みが戻った。

やっぱり、今日は寂しい顔なんて見たくないな。

今日は最後まで・・・笑顔でいたい。

「じゃあ、行こうか」

「うん」



「それでは最初に、二人の馴れ初めから紹介させていただきます」

神田さんの的確な司会によって、披露宴は順調に進んでいた。

その司会ぶりは、俺たちはもちろん出席者も安心して聞いていられた。

出席者は『百花高校』の教師や当時同じ生徒会員だった人達、あと仕事上関わっている人達等多岐に渡っていた。

それだけ大勢いるのに、それを全員入れられてしまうのだから、改めてこのスペースは凄いと実感せざるを得なかった。

「そして2人は卒業後も交際を続け、数多の困難を乗り越えこの度ゴールインした次第であります」

神田さんの司会にも次第に熱が入り始めた。

やはり安心していられる・・・そう思った時だった。

ウーーーーーーーーー

突然サイレンが鳴り始めた。

エンドレスバトラー関係者がほとんどのため一般人に比べると驚きが少ないが、誰もが警戒を強めた。

とにかく、何かあったのだろうと急いでケイタイで管制塔の方へ連絡を取った。

「もしもし、俺だ。何かあったのか?」

『えぇ、そちらに異星人の大群が押し寄せています!パトロール隊だけでは抑えられそうにありません!』

「何?」

そう連絡を取っていると、スクリーンが現れ外の光景が映し出された。

そこには、何千といる異星人の軍団がこちらに迫っている光景であった。

考えてみれば、旧型の戦艦にこれだけのエンドレスバトラーが集まっているんだ。

一網打尽にするにはこの上ない状況だ。

・・・だけど、裏を返せばそれだけの戦力がこちらにもあるということ。

現に、既に半分以上はログインして外に向かっていた。

「主役2人は下がってろ、ここは俺達がどうにかする」

神田さんも既にログインし、戦闘態勢に入りつつあった。

だけど・・・この言葉を聞くわけにはいかない。

「すいませんけど、俺も戦いますよ」

持っていたケイタイでパスワードを入力し、いつでもログイン出来るようにした。

「な、何言っている!?お前にもしものことがあったら・・・」

「でも、俺には絶対に守らなきゃいけない人がいる。そうでしょ?」

「・・・そうだったな。だが、絶対に無茶するなよ」

それだけ行って、神田さんは行ってしまった。

「・・・さぁ、奥で待っていてくれ。後は皆でどうにか・・・」

「ううん、私も行く」

俺がその言葉に反応して振り向くと、先ほどの俺と同じようにケイタイにパスワードを入力する目黒がいた。

「え・・・!?」

「私にも・・・守らなきゃいけない人がいるから」

そういいながらお腹をさする姿を見て、すぐに納得した。

「・・・分かった、一緒に守ろう」

「うん、ありがと」

この言葉を交わしていると、ふと前に目を通した日暮里さんの資料を思い出した。

10年前、俺達が壊滅させた組織。

そこから異星人に地球を侵略するよう仕組んでいた事実は合っていたが、厄介なのはその後だった。

異星人には独自のネットワークが存在し、他の異星人にも同じよう情報が回っているというのだ。

こちらから攻め入る手段もなく、防戦しか手段はない。

更にその上、出所不明のサイボーグに力に溺れて暴走するエンドレスバトラーもいるのは確かだ。

これらが完全に駆逐され、エンドレスバトラーの必要性がなくなるのに要する時間は・・・100年では足りないという。

つまり、俺達が生きている間に戦いが終わることはまずないだろう。

それどころか、この子が生きている間に終わるのも怪しい。

・・・だけど俺は・・・俺達は戦いをやめる訳にはいかない。

なぜなら、俺達はエンドレスバトラー・・・『終わりなき戦士』なのだから!

「行こう!」

「うん!」

「「EB・・・ログイン!!」」



Endless Battle 
〜百花繚乱〜

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