2009/11/21

外伝5『見た目がこれでも』  外伝
都内某所。

1つのメイド喫茶、そこの更衣室で

「ふふ、目黒ちゃん似合ってるじゃない♪」

「は、はぁ、どうも・・・でもらむ先生の方が着こなしてる気が・・・」

目黒とらむ先生はメイド服に身を包んでいた。

あの組織との戦いから3年、目黒は既に大学2年になっていた。

その目黒をらむ先生は呼び出し、今このメイド喫茶に来ている。

2人もただメイド服を着たいがために来たのではない。

「ここのどこかで不正取引しているはずだから、手分けして探しましょ」

「はい」

このメイド喫茶がある雑居ビルのどこかで、『EB−ID』の不正取引が行われているという。

きっかけは、『百花高校』の生徒が他校と暴力事件に巻き込まれ、この不正取引が発覚した。

その潜入捜査のため、らむ先生は大学生である目黒に協力を頼んだ。

他の先生がこの潜入捜査に乗り気でなかったからだ。

幸いにも経営者が卒業生である牙津の知り合いであったため、潜入はうまく成功することが出来た。

「じゃあ、行きましょ」

そう行って2人は更衣室から出て、店の扉から外へ出ようとした。

と、ちょうどその時、客が扉を開け入ってきた。

らむと目黒は揃って

「お帰りなさいませ、ご主人様」

丁寧に頭を下げ、挨拶した。

そして事情を知っている他のメイドがその客を案内していった。

「・・・目黒ちゃんもしかして意外と乗ってる?」

「らむ先生に言われたくないです」

そう言葉を交わしながら今度こそ店の外に出た。

「私は下の方から探ってみるから、目黒ちゃんは上の方からお願い」

「分かりました」

それだけ言葉を交わして2人は分かれた。



「ここも特になし・・・と」

らむ先生と分かれた目黒は淡々と調査を行っていた。

メイド服という通常は目立ったこの格好も、ビル内にメイド喫茶があることで普通に取り込まれていた。

しかし、捜査の進捗はイマイチだった。

それらしき手がかりは全く見つからず、上へ上へと進んでいた目黒はついに屋上にまでたどり着いた。

(・・・ここはないよね)

そう思いながら、目黒は屋上の重い扉に手をかけた。

鍵はかかっておらず、すんなりと開いてしまった。

(あれ?鍵は・・・?)

そのことに対して疑問を感じながら扉の向こうを見てみると、そこに数人の男がいた。

男達はそんな目黒の出現に驚いたのか、体を固めていた。

そんな男達が手に持っているのはアタッシュケースに入った大量の札束と、よく見慣れている『EB−ID』と認証リスト。

それはずっと探していた不正取引の現場で間違いなかった。

「・・・お嬢ちゃん、ここで見たことは黙って忘れな」

1人の男が目黒に向けて銃を向けてきた。

その形状からして、男が既にログイン済みというのは見なくても理解することが出来た。

「そうは行きません!EB・・・ログイン!!」

目黒はすぐさまケイタイを取り出し、スライドさせてログインを行った。

戦闘服はいつもの制服を基調としたものでなく、今着ているメイド服を元にしたデザインとなっていた。

そしてすぐさまらむ先生に対してケイタイを用いて連絡を取った。

しかし、らむ先生が出る気配が全くなかった。

「何だ、嬢ちゃんもエンドレスバトラーだったのかい。だったら・・・手加減は出来ないぜ!」

連絡に手こずっている目黒に対して、男達は一斉に襲い掛かってきた。

「・・・もう、やるしかないみたい」

目黒も意を決して構えた。



「め、目黒ちゃんゴメン、大丈夫だった?」

急いでらむ先生が戻ってきた時には、既に戦いは終わっていた。

色んなところで倒れている男達が、その結果を物語っていた。

「遅いですよ、らむ先生」

一方の目黒は全くの無傷だった。

過去にあれだけの激戦を潜り抜けてきた目黒にとって、男達は相手にすらならなかった。

「さっき、神田さんに連絡しておきました。そろそろ着くと思いますよ」

ここから先は警察の出番、そう考えた目黒は既に通報まで行っていた。

「何から何までありがとう、助かっちゃった♪」

そうお礼を言うらむ先生に対し、

「それはいいですけど・・・さっき連絡取った時どこにいたんですか?」

目黒はそれが気にかかっていた。

「あ〜・・・うん、ちょっとね」

らむ先生はそれに対して何も答えなかった。



この出来事から数週間後、らむ先生は音無先生と共に新潟まで行くことになるが、それはまた別の話である。
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