2009/2/14

第86話『老人の戯れ』  11月編
「全く、近頃の若いもんは気が早くて困るわい」

片手でその髭を自慢げに触りながら、その巣鴨という老人は言ってきた。

「・・・あなたが巣鴨か、初めてみるな」

その姿を見るなり、会長がそう口にした。

・・・て、あれ?

「会長、知っているんですか?」

「あぁ、この前襲ってきた3人がいただろ?あの3人と同格の幹部だ」

「え?」

あの中にガキがいたことにも驚いたが、まさかあんな老人までいるなんて・・・。

「で、あんた達だけで拠点の破壊を止めにきたのか?」

会長がいきなり本題を切り出した。

「いや、ワシは今日は戦うつもりはないわい」

「え?」

ここまで来て戦わない?

どういうことだ?

「ワシは、真正の『覚醒』適合者を直に見たかっただけじゃ」

「え?」

それって・・・俺のこと?

「ふむ、いい目をしておる。新橋の苦手なタイプじゃな。こりゃ手こずるわけじゃ。けど・・・」

「・・・けど、何だ?」

その後が物凄く気になる上に、嫌な予感がしてならない。

「さっき、拠点の方へ『ASLR−3』を何体か手配しておいたわい。そっちは止めなくていいんかい?」

「『ASLR−3』・・・?」

一体何のことだ?

「・・・前に君も戦ったことのある、あの巨大ロボットだ」

俺が戦ったことのあるロボット・・・?

まさか・・・

「あの屋上で戦った、異星人のロボット・・・?」

「そうだ。それが何体も、となると、1年生達で止められるか・・・」

あの3人には悪いが・・・

「難しいでしょう」

「だな。早く助けに行くぞ」

「ホッホッホ、いい具合に慌ててきたのう。では私はここで失礼する」

そういい残して老人・・・巣鴨は立ち去っていった。

「ま、待て!」

「上野くん、今は放っておいていい。それよりも、助けに行くぞ」

「は、はい!」

幸い、もうログインは済んでいる。

あとは向かうだけだ・・・!

ダンッ!

急に目の前に何かが飛び込んできて、小さな爆発を起こした。

考えるまでもない、新橋だ。

「行かせると思うか?」

「ク・・・」

まずはこいつをどうにかしないとダメか。

早く済ませないと・・・。

バァァッン!!

俺がそう考えている間に、新橋が何かの衝撃を受けて、吹き飛ばされた。

衝撃の正体、それもすぐに分かった。

『ZEROシステム』を使って肉体強化を図った会長の飛び蹴りだった。

「上野くん。コイツは俺が止めておく」

「え?でも・・・」

「俺は1人でどうにかコイツを止められるが、君にはまだそれは荷が重過ぎるだろう」

・・・確かに、今の俺にはそれが一番の選択のようだ。

「わ・・・分かりました!行ってきます!」

俺はそのまま拠点の方へ向かって走り出した。



「・・・言ってくれるじゃねえか」

新橋は上野がその場が立ち去って、池袋1人になったところで起き上がり、話しかけた。

「いつまでも、俺がお前に負け続けるとでも思っているのか!?」

怒りによって、新橋の周辺に軽い地響きのようなものが発生した。

「・・・俺が嘘をつくとでも思っているのか?・・・そのことを含めて、な」

「・・・どういうことだ?」

池袋の発言に、新橋は疑問を浮かべた。

「俺は上野くんにお前を『倒せない』じゃなくて、『荷が重過ぎる』って言ったんだぞ?」

「何が言いたい!!」

急に謎掛け的なことを言われ、新橋は苛立ちながら叫んだ。

「もう・・・彼はお前を超えている、ってことさ」



「・・・ここって、結構ヤバい施設なんじゃな〜い?」

異星人の基地を調査していた迦樓美ちゃんが、蛇行と青野の2人に言った。

「ですね。これはちゃんと調査を進める必要があるかと」

迦樓美ちゃんの言葉に、青野も賛同した。

「だな。だけど、外の学生が待ちくたびれなきゃいいけどな」

蛇行は地下であるその場所から上にある地上を見上げるように言った。

「じゃあ、早めに終わらせよう」

「さんせ〜い」

そう言葉を交わした、その時だった。

ウーウーウーウー

急に騒がしいサイレンが鳴り響いた。

「・・・どうやら、そうはさせてくれねえみたいだな」

「ですね」
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2009/2/20  0:07

投稿者:牛鮭
>晴天決行さん
指摘ありがとうございます。
修正いたしました。

2009/2/15  9:40

投稿者:晴天決行
急に謎掛け的なことを・・・の後半部分、
新橋は苛立ちながら叫んだ。が
新橋を苛立ちながら叫んだ。になってます。

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