K先生へ
明けましておめでとうございます。先生が出席できなかった同窓会は、お互いがそれぞれの45歳の現在を、再確認する機会になりました。高校を卒業して27年。ほとんどの同級生は大学へ進学したあと、それぞれ就職し家庭を築き、これまで生きてきた人生を感じさせる再会となったわけです。特にボクが高校時代好きだったSさんは、大きな病院で腫瘍病棟の看護婦(師)長となっていて、その背筋のきりっとした伸び方に、厳しい仕事を続けている自負のようなものが感じられ、頼もしくまた嬉しくも思いました。
とはいってもボクには懐古趣味はありません。現在の関心事はメールにも少し書きましたが、「憲法9条」の行方と「六ヶ所」問題です。9と6ですね。
まず9のほう。進学先の沖縄は、まさに9条の蚊帳の外に置かれています。学生アパートも普天間基地のすぐ近くにあったので、米軍機の騒音にはかなり悩まされましが、その普天間基地の移転問題で、移転先の辺野古は揺れています。9条はG.H.Qによる日本の武装解除が目的ですが、日本本土を「民主化」するのと引き換えに、沖縄は「軍事化」されていきました。そして「復帰」後も、その有様はほとんど変わっていません。
現在アメリカの軍事的プレズンスは、イラクやアフガニスタンで見られる通り、低下の一途をたどっています。当然軍事費もかさみ、よってアメリカは同盟国である日本にその一端を担ってほしいと考えています。日本の政財界はそれに呼応し、陳腐なナショナリズムを作り上げ、「9条」を改変(改正ではありません)したいと思っている訳です。
しかしいったん「9条」を改変すれば、アメリカに追随する属国としての地位が強化され、沖縄の基地も固定化されることでしょう。それゆえ3〜4年後に実施される予定の「国民投票」が、きわめて重要になってきます。
そして6のほう。構図としてはまったく「沖縄」と変わりません。全国各地から出る放射性廃棄物の最終処分場と“核燃料サイクル”と呼ばれる「再処理工場」を、下北半島の小さな村「六ヶ所」に、押し付けているわけです。自然界にももちろん放射線は存在していますが、「六ヶ所」は、原発が1年かけて出す放射能を、1日で排出するといわれています。かりにそれが「安全」だとするならば、大消費地である東京のど真ん中にこそ、「再処理工場」を建設するべきです。それならば合理的かつ論理的だといえるでしょう。
高校時代。そんな社会的な“現実”にはまったく触れる事はありませんでした。もし沖縄に行かなければ、イノセントな大人になっていたかも知れません。受験のための“お勉強”の知識は必要な時もありますが、それは人生にとって one of them でしかありません。「教育」こそが必要なのであり、学校は「教育」とは、本質的になんの関係もないのです。
うちの娘が中一の春、“学校に行かない”宣言をしました。そして今、いろんな大人たちと出会い、さまざまな本を読み、「教育」を受け、自分なりの方向性を見出そうとしています。
その娘が実行副委員長、サーファーの女性が委員長となり、来月3日日向市で《六ヶ所村ラプソディ》という映画の自主上映会を行います。秀逸なドキュメンタリー映画で、「六ヶ所」の現実をありのままに写し出しています。
そこでこれはお願いなのですが、来週日向市内の学校に映画の案内を持って回る予定で、ご主人が勤務するT高校にもお邪魔することになっています。一言お伝えいただければ幸いです。パンフレットを同封しましたので、参照してみてください。
パン焼きをしながら、そんなふうに今のところ生きています。お会いできるのを楽しみに、それではまた、失礼いたします。
2008年1月5日 石窯男