1963年生まれのボクにとって、小学校の頃、土曜日の夜の楽しみは何と言っても“全員集合”だった。いつもは夕方暗くなるまで遊ぶのが常だったけど(夏なんかは、午後7時半を過ぎても家に帰らなかった!)、土曜日は早めにアパートに帰宅し、風呂に入り、家族そろって夕飯を食べ、白黒テレビの前で、わくわくしながら始まるのを待ったものだった。
そして8時ちょうど。長さんの“8時だよ!全員集合”の大きな掛け声で番組が始まると、後は最後まで、テレビの前に釘付け状態。加藤茶はもちろん大好きだったけど、なんといっても今風にいうとチョイ悪オヤジ的な荒井注が出てくると、それだけでガハハハとなる。「なんだ、バカ野郎!」「文句あるか!」「ジスイズアペン!」など人を食ったような言葉の連発。PTAのお母様方がワースト番組に選ぼうがどうしようが、ボクら子どもも一緒に「ジスイズアペン!」の連呼。文句あるか!
その荒井注が、1974年突然ドリフを辞めた。ボクはその頃11歳。えっ、ほんと???なんで辞めたと???はっきし言って、子どもながら大ショックだった。代わって入ってきた長髪でやせっぽっちの若い男、名前は“志村けん”といった。全然面白くない男だった。他のメンバーとの笑いもかみ合わず、土曜の夜の楽しみは失われつつあった。今から思えば、志村の笑いの質は、それまでのドリフのそれとは異質だった気がする。
長さんはもちろん、荒井や加藤、仲本工事も高木ブーも、子どもの側に立ち、子どもに寄り添った笑いだった。しかし、志村は違った。あえて言えば、時代を読み、時代にこびた笑いだった。「カラスなぜ鳴くの、カラスの勝手でしょう〜」が志村のドリフの主導権を握り始める初めてのヒットだったが、なぜかボクは馴染めなかった。冷たい笑い。そう感じた。
今改めて、荒井注の笑いを見たい。人を食った、しかし情のある昭和の笑いが、今こそ必要なのだ。今回発売されるドリフの3度目のDVD、頼むから今度こそ荒井注を見せてくれ!文句あるか!ジスイズアペン!!(了)