2008/10/5

ある秋の日、想うこと  

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 モーレツに暑かった夏も遠くに去り、台湾近くで90度に折れ曲がって九州に接近した台風13号と15号も大過なく過ぎ去って、早朝嫁さんと散歩しながら見上げる空は、いつの間にか、うす蒼く透明な色に変わっている。鳥たちのさえずりも、今はまだ静かだ。

 足元に目をやると、はぜた山栗が道端に散らばっている。車にひかれてペシャンコになってるのもあるけど、うまく毬(イガ)がはずれたものは、栗の実だけがコロコロッところがり、それを拾い集めるのがこのごろの散歩の楽しみだ。嫁さんは両手いっぱいに秋をかかえて嬉しそう。それらはやがて、高校生の娘のおやつ代わりに平らげられてしまうのだけれど…。

 そんな秋の日、一冊の本を読み通した。題名は『戦争絶滅へ、人間復活へ』(岩波新書)著者はそのお名前は以前から知っていた、むのたけじさん御年93歳。 (岩波のHPに、この本の担当をされた坂巻さんの案内が載っているので、まずそれを参照して下さい。 http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/ )

 黒岩さんというジャーナリストの質問に答える形でまとめられているので、文章も平易な話言葉でわかりやすく、高校生程度だったら誰だって読めると思うけど、「今が人生のてっぺん」で「頭がいい」と自認されるむのさんだけあって、密度の濃い内容だ。
 従軍記者として見た、戦争の実像。そして敗戦前後のジャーナリズムのあり方。ようやく手にした、憲法9条の持つ二重性。資本主義に代わるものとしてあらわれた、共産主義の実態。宗教の持つ欺瞞性。「新しい人間」の誕生。そして絶望のなかの希望…。

 いくつものことを考えさせられた。たとえばむのさんは「宗教は卒業した」といい、その代わりに必要なのは「人間としての常識」だという。確かに仏教を例にとっても、釈尊は「お墓を作って先祖を弔いなさい」とか「香典は○○円包みなさい」なんてことは、ひとっことも言ってない。ただ「とことん生きて、善事を成せ」(むのたけじ氏の解釈)と説いている。

 前々から思っていたんだけど、仏教は“輪廻思想”を根本にすえているので、お墓なんて必要ないのだ。だからこそ仏教発祥の地であるインドには、お墓がなく、遺骨は川に流している。
 確かに「宗教」なんていらない。ただ一人一人のうちにある静かな「信仰」までは否定できないと思う。組織的になってしまうから、権力が生じ、献金が必要になったりしてややこしくなる。個人的な内発的なものであれば、誰にも縛られず、お金もかからず、自由そのものだ。そんな「常識」が普通になってほしい。

 また社会主義について巻末の「結び書き」で、青年期からずっと惚れこんでいるレーニンと毛沢東を、“裁く資格と責任を持つ”としてむのさん流の【判決】を下している。彼ら二人を「降リ回シタ旗ニハ社会主義ト書イタガ、マッカナニセモノダッタ。(中略)ソノ成リ行キニ気ヅカナッカタトハ、何トスットン狂ノコトヨ。ヨッテ両人ハ“スットン罪”デ、ソノママ永遠ニ眠リ続ケヨ。」

 ボクなんかが思うには、社会主義(もしくは共産主義)の理念そのものは魅力的だけれど、革命の指導者たちの人間に対する理解が、あまりにも幼稚ではなかったかということだ。 
 個々人にはそれぞれの多様な興味・関心・欲求(欲望)があり、生き方がある。そんな様々な人生を生きている人々が、一人一人の自発的な考えで共産主義を選び取ったならば、それはそれでよりよい社会ができる可能性があっただろう。しかしそれがいかに“理想的”なものであるにせよ、ひとつのイデオロギーを上から強引に押し付けることなんて、絶対にできっこない。
 それに共産主義の指導者であるならば、大多数の人たちと同程度の賃金を貰い、同じような家に住み、生活すべきだよね。まかり間違っても、豪奢な車に乗り、豪邸に住むべきではないよな。

 社会主義(共産主義)が崩壊・変質し、「資本主義オンリー」生き残ったかにみえるけれど、あらたな危機が地球全体を覆っている。「温暖化」に代表される、地球環境問題だ。経済発展を続ければ続けるほど、環境は悪化する。確かに日本をはじめとする先進各国は環境に配慮した科学技術が発達してはいるけれど、豊かさをめざす中国やインドなどの人口大国は、様々な環境問題が噴出している。(いやにニホンにおいてさえ、六ヶ所村の再処理工場の本格稼動延期にみられるように、原子力発電所の“ゴミ問題”は解決の糸口さえ見えないのだ。)

 むのさんは、資本主義や共産主義に代わるべき新しい思想はまだわからないとおっしゃっているけれど、たぶんそれは“自然主義”しかありえないだろう。ボクが20年来敬愛する正木高志さんはそれを“グラウンディング”(自然回帰)と呼んでいる。(詳しくはHPを http://masakitakashi.com/ )

 その正木さんが、約3年後の国民投票において憲法9条を選びとるために、若い人々を中心にしたムーブメントを起そうと、精力的に活動を始めている。戦前、戦中、そして戦後を誠実に生きてこられたむのさんに、このような動きが春の芽吹きのように拡がっていることを、伝えたいと思っている。

追記:岩波書店に問い合わせたら、たぶん編集者の坂巻さんだと思うけど、むのさんの住所を快く教えていただいた。今度手紙を書きたいと思ってるところです。

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2008/10/15  16:16

投稿者:poiken

驚いたね!がんばってる
以前 訪ねて見た時には
すごい所でやってるなぁと思ったが
hpを見ましてレパトリーが増えたですか


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