隠しページに戻る


妖精的日常生活 第13話

少年少女文庫版おまけSS

興 奮しないから大丈夫♪

by ジャージレッド



「ありがとうございます。うちのチョロ吉君 を保護してくださいまして、ありがとうございますぅ〜。良かった、良かったね、チョロ吉君っ!」

 感激の涙を流 しながら感謝の言葉を述べているのは、ワタシがバイトをしている喫茶店、瀬里香の常連客の1人の根古川(ねこがわ)さんだ。このおじさんは、ご近所でもハ ムスター好きな人として有名なおじさんで、その家には並のペットショップよりも多くのハムスター達がおじさんと生活をともにしているらしい。なんでも、例 の「……なのだ」としゃべるハムスターが主人公の番組を見てからハムスターにはまってしまったらしい。もっ とも、だからこそアニメと現実の区別がちょっとだけ曖昧なのが玉に疵なのだが……。

「も う、あなたったら大げさなんだから。でも美姫さんに海斗さん、本当にありがとうございます。大変だったでしょう。主人がお約束した謝礼は、明日にでも銀行 口座に降りこんでおきますね。もちろんお金の出所は主人のお小遣いからですけど♪ それよりも御二人とも埃だらけになっちゃってるじゃないですか。ささ、 お風呂をご用意しましたから、どうぞ御一緒にこちらへおいでください」

 根古川さんの奥さんは、その手のひらの 上に助けられたばかりのチョロ吉君をちょこんと乗せながらそう言った。この奥さんもハムスターには目が無いのだが、財布のひもはしっかりしてるみたい。 ちょっと旦那さんに同情かも。

「それはありがとうございます。謝礼のほうは入金を確認してから、必要でしたら領 収証を発行しますけど、どうされますか?」

 どんな時でも金の話を忘れない海斗は、ある意味さすがだ。それにし ても奥さんが謝礼の話の後に言ったのは……。

「あの……、お風呂って、もしかして……」



◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇  ◆ ◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



  話は半日前に遡る。ワタシがバイト先の喫茶店、瀬里香で働いていると、そこに常連客の根古川さんが血相を変えて飛びこんできたのだ。なんでも大事にしてい たハムスターのチョロ吉君が、ちょっと目を離した隙に逃げ出してしまったらしいのだ。最初は家の中のことでもあるし、すぐに見つかるだろうと思っていたの だが全然見つからなくて、どこに行ってしまったのだろうと家中くまなく探したところ、タンスの裏の壁に穴が開いているのを見つけたというのだ。

「で は、チョロ吉君は、その穴からどこかに行ってしまったんですね。もしかして外に出ちゃったとか?」

 とりあず相 談に乗ることしか出来ないと思ったワタシは、心配そうな表情を浮かべて、根古川さんに聞き返す。それにしても犬や猫ならともかく、ちっちゃなハムスターが 家の外に出ちゃったらホントに大変だ。そのあたりのことはワタシも小さな妖精だから分からなくもない。まあ、ハムスターは空を飛べないから、妖精よりも更 に大変だろうけど。

「いえ、それが違うんです。どうやら壁の穴が天井裏につながっているらしくて、静かにしてよ く聞いてみると、てちてちと天井裏をチョロ吉君が走り回っている音が聞こえるんです」

 疲れた顔をして根古川さ んはそう言うと、ため息をついた。

「私も天井裏に上ってチョロ吉君を呼んでみたんですけど、なんだか避けられて るみたいで、私の顔を見ると私ではもう追いかけられないような狭いところに逃げ出しちゃうんです。私の可愛がり方が足りなかったんでしょうか ……。いつもあんなに頬ずりをしてあげたり、今日なんかは一緒にお風呂に入ってあげようしただけなのに … …」

 ん? とワタシは思ってしまった。頬ずりもだけど、ハ ムスターと一緒にお風呂に入るのは普通なのだろうか。ハムスターってお風呂に入れても大丈夫なの? 確かハムスターは砂浴びだけで良かったような気がする けんだけど。なんとなくチョロ吉君が逃げ出したくなる気持も分かるような気がするワタシだった。

「まあ、その ……。それで結局、この話とワタシがどう結びつくんですか?」

  ちょっと白くなってしまった場の雰囲気を取り繕うため、ワタシはアハハと乾いた笑いを発しながら根古川さんに聞いてみた。まあ、なんとなく答えは分かって いるけど ……。

「そうでしたっ! 美姫さん、お願いします。私 と一緒に家まで来て下さい。妖精ならばハムスターほどではないにしろ、狭いところまで入りこめますよね。天井裏のチョロ吉君を連れ戻してやってください。 お願いします。いえ、ただでとは言いません。この根古川、ハムスターの為なら金に糸目はつけませんっ!」

 断言 する根古川さんの背後には、ひまわりの種を手にした巨大なハムスター型のオーラが立ち上っていた。なんか疲れる……。



◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇  ◆ ◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「…… というわけで海斗、準備はいい?」

 いつものメイド服に手には大きな虫取り網(とはいってもあくまでも妖精サイ ズなのでたかがしれているのだけど)というちょっとミスマッチな格好をして、ワタシはコウモリ羽の妖精少年の海斗に緊張に震えた声をかけたのだった。

「準 備はオッケーだけど、なんでオレがこんなことで駆りだされなきゃならないんだ?」

 海斗は不満そうにぶーたれ た。ううう、ワタシだって海斗になんか頼みたくはなかったけど……、壁の穴を覗き込んだらなんか妙な物音が するし暗いし、怖かったんだもんっ! すぐさま『1人では無理ですっ!』と根古川さんに言うと、ワタシは海斗に連絡を取ったのだった。

「海 斗ってネズミ退治の仕事をしてるんでしょ。ネズミを退治するのもハムスターを捕まえるのも似たようなものじゃない。ちゃんとお金も払ってるんだから文句を 言わないの。さあ、入った入ったっ!」

 ワタシは自分が怖がっていることを海斗に知られたくなかったから精一杯 の元気を振り絞ってそこまで言うと、海斗を見ながら壁の穴を指さした。ううう、入りたくないなあ。

「オレはいつ でも大丈夫だ。まあ出すもんを出してもらえるならオレとしては文句は無いんだけどな。それよりも美姫。退治するならともかく捕まえるとなると“オレ1人で は難しいから”、お前も頑張るんだぞ」

 ジーンズっぽい動きやすそ うな服を着て、いつものように腰には剣をさしている海斗は、ワタシにハッパをかける。う〜ん、根古川さんにはワタシ1人ではチョロ吉君を捕まえるのは難し いと言った手前、海斗1人に任せるわけにもいかないし、海斗は海斗で、その事情を知ってワタシをからかっているし……。ワタシは女の子だからこんなことし たくないって言えたらどんなに楽だろう。

「美姫さん、お願い します。どうかチョロ吉君を連れ戻してきてください。ああ、こうしている間にもチョロ吉君が……」

  ワタシと海斗の後で、心配そうに胸の前で手を組んで嘆いている根古川さん。ううう、やっぱり入らなくちゃいけないの? この穴の中に。

「根 古川さん、あれだけの謝礼を頂けるということならオレも頑張りますからお任せ下さい。じゃあ美姫、行くぞ。ハムスターのチョロ吉を連れ戻しにっ!」

  そのまま海斗はワタシの腕を引っ張り、壁の穴の中へと消えていった。ちょっと震えるワタシを伴って……。



◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇  ◆ ◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



  それからのことは、あんまり思い出したくはない。壁の穴から狭い通路(?)を通って天井裏に行ったは良いけど、それだけでもう埃だらけになっちゃうし、突 然カサカサと音がしたかと思うと黒光りするゴキちゃん達と出くわして、もう帰りたくなった気持ちを何とか押さえ込んで先に進んでようやくハムスターっぽい 身体をした生き物に出会ったと思ったらネズミだったし……。

 と もかくすごい苦労をして何とかチョロ吉君を保護して根古川さんの元に戻った時、ワタシは泥と埃にまみれ、身体は汗でベトベト、顔は涙と鼻水が乾いてパリパ リになってしまったのだ。もう嫌っ! でも一番嫌なのは何かと言えば、苦労しているワタシをしり目に、海斗は簡単にチョロ吉君を捕まえてしまったというこ と。もしかして、ワタシがこんな苦労をする必要なんて無かったんじゃないのっ!? まあそれはそれとして、とにかく仕事は終わった。こうしてワタシと海斗 は、チョロ吉君を手に載せた根古川さん夫妻の前に立っていたのだった。









「ですからお風呂です よ。そんなに汚れてしまったままの美姫さんをこのまま帰すことは出来ませんからね。幸いにもうちには先日完成したばかりのハムスター用の湯船が普通の湯船 の隣に併設してありますから妖精さんでもちゃんと入れますよ。というか元々は妖精さん用の風呂をハムスター用にしてあるんですけどね」

  そして根古川さんは、有無を言わせずワタシと海斗を風呂場に案内する。ワタシは思いっきり遠慮しようとしていたが、海斗は何だか状況を楽しんでいるみた い。そしてワタシが何も言えないまま、ワタシと海斗は風呂場にいたのだった。

「ちょっと根古川さん、お風呂に入 るのは良いんですけど……」

 せめて海斗とは別々にして欲しいと 言おうと思ったのだが、根古川さんの奥さんに言葉を遮られてしまった。

「美姫さんに海斗さん、もう遠慮はしない でくださいな。チョロ吉君の恩人のおふたりなんですから遠慮は無用ですよ。じゃあ、おふたりがお風呂に入ってる間に汚れた服を洗って乾かしておきますから ごゆっくりしてください。いえいえ、ちゃんと服を傷めないように手洗いしますから安心してくださいね」

 根古川 さんの奥さんも自分一人で納得して、ワタシと海斗に早く服を脱ぐように促す。にゃあぁ〜、だからぁ〜っ!

「だか ら、あの、ワタシと海斗は女と男で……。一緒にお風呂に入るのは……」

 何とかここで抵抗しなきゃ、海斗と一緒にお風呂に入ることになってしまうと思ったワタシは、 精一杯の抗議を開始した。

「美姫、何を恥ずかしがってるんだ? この間の集会の時にも言ったけれど、今はまだ妖 精狂いの季節じゃないからお互いにエッチな気持ちにはならないはずだろ? それに今のオレは妖精の男だけど元は女だったし、今の美姫は妖精の女の子だけど 前は男だったわけだから、お互いに恥ずかしがるような状況じゃないじゃないか?」

 海斗はニヤリと笑ってそう言 うとサッサと服を脱ぎだしたっ! ……けど、確かに驚くほどのことではない。今のワタシは女の子だけど男の 裸は見慣れてるし、海斗が言うように何も問題は無いよね。海斗も元は女の子だったわけだし……。あぁ〜っ、 理性では分かっているのに、何だかそれでも恥ずかしいのは何故っ!?



◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇  ◆ ◇  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



  根古川家のお風呂の中、普通の人間用の湯船に併設して作られたハムスター用(本当は妖精用)の湯船につかるワタシと海斗……。何故かどこから聞こえてくる のか分からないが、『かぽぉーん』という音が聞こえるような気がする。

「ちょっ と、こっちに来ないでよ」

 妖精2人がゆったりと入れる湯船の端と端に陣取って、ワタシと海斗は正面から相手を 見つめるポジションで湯につかっていた。海斗の引き締まった身体と浅黒い肌が、今のぷにぷにとして白いワタシの肌と完全に対比を成している。ううう、ワタ シも前は園芸部の活動で日焼けしてたからあそこまでは黒くなかったけど、それなりに黒かったのに……、 ちょっと悔しい。

「ふーむ、最近の美姫は、初めて会ったときとは違ってずいぶんと女の子らしい喋り方になってき てるじゃないか」

 胸のあたりまで湯につかり、湯舟の端に両腕をかけてくつろいでいる海斗は、感慨深げにそう 言った。そしてそのまま意味深な目でワタシを眺める。ううう、こういう態度を取られると海斗が元女子大生のお姉さんだっていうことが信じられなくなる。 まったくオヤジっぽいたらありゃしない。

「努力しましたから……。誰かさんのおかげで……」

 精一杯のいやみを口 調に込めて返事をするワタシ。顔はなるべく海斗のほうを見ないようにあっちに向けて、ほとんど口がお湯にひたるかどうかというぐらいまで湯舟につかってい る。ふんっ! たとえ妖精狂いの季節じゃないとしても、あの海斗がエッチな気持にならないだなんて、信用なんか出来ないんだもんね。そうだよ。だってあの 色魔の海斗なんだよ。

「オレのおかげだと思っているのなら、何かお礼をしてもらわないといけないな。うーん、何 にしようかな?」

 腕を組んでおおげさに頭を傾けて、真剣に考えこむふりをする海斗。まったく、皮肉も通じない のか。この妖精には……。

「誰がお礼をするって言った? 何時何 分何秒っ!? そんなことワタシは言ってないでしょっ!」

 頭にきたワタシは、湯舟の中でザバッと立ちあがる と、海斗に向かって叫んでしまった。

「おおーっ! 美姫の裸はこの前見させてもらったけど、お湯に濡れた肌とい うのもなかなか……。よく暖まってほんのりと赤くなった顔も色っぽいねえ♪」

  しまったっ! 立ちあがるとアソコがお湯から出て丸見えになっちゃうんだった。でもっ! ここで恥ずかしがったりしたら余計におもちゃにされちゃうという ことを、ワタシは1ヶ月半にわたる妖精少女としての生活で学習していたっ! と、いうわけでぇ〜……。

「元 は女のくせに、女の裸をみてそんなこと言うなんて、海斗ってば変〜態〜♪ シッシッ! あっち行ってよ。変態がうつっちゃうでしょっ!」

  こういうパターンでは先に恥ずかしがったほうが負けだから、ワタシは全然平気というポーズを崩さなかった。まあ、男のアレをさらすよりは、まだ表面上見え ないところにしかソレがない女のほうが、開き直ってしまえば裸を他人にさらしても恥ずかしくないかもしれないのは確かだ。でもホントはやっぱり恥ずかし い。自分が男だろうと女だろうと、他人に自分の裸を見られるのは恥ずかしいことに変わりはないよね。

「ふ〜ん、 じゃあ美姫に変態がうつったかどうかを確かめてみよう♪」

 ちょっと考えた様子をしてから、海斗もおもむろに湯 船の中で立ち上がった。お互いに裸のまま向き合うワタシと海斗……。ふん、あんなものワタシにだってちょっ と前まではついていたんだから、全然恥ずかしくも無いし、興奮もしないんだもんね。

「海斗のなんか見ても興奮す るわけないでしょ。こう見えてもワタシにだってちょっと前までは付いてたんだから」

 平然と言い返すワタシ。で も……、久しぶりに見たアレはちょっと懐かしいというか興味の対象というか、なんだか目が離せない。ちなみ にワタシもだけど海斗の股間にも毛は生えてない。なるほど……、ワタシのアソコに毛が生えてないのは、この 身体がまだ幼いからだと思っていたけど、妖精のアソコには毛が生えてないのが普通だったんだっ!? へへへ、なんとなく嬉しい♪

「そ う言ってる割には視線はココにくぎ付けみたいなんだけど? やっぱり美姫も元は男なのに男の裸に興奮してるじゃないか。うわ〜♪ 美姫ってば変〜態〜♪」

  楽しそうに笑いながら海斗が1歩、2歩とワタシのほうに近づいて来る。それにしてもなんだよ、このノリはっ!?

「そ、 そんなことないもん。ただ昔のワタシのアレとはちょっと違う形をしてるかな? って思って見てただけだもん。ワタシがそんなものを見て興奮するわけないで しょ」

 ちょっと焦りながら言い返すワタシ。ううう、本音を言うと性的に興奮するなんてことは一切ないけど、他 人のものとはいえ久しぶりに見るソレからは何故か目を離せない磁力が……。

「ふー ん、それだけかな? やっぱり興奮してるんじゃないのか? ほら、美姫のアソコはもうビショビショに濡れてるじゃないか。ほらほら、自分で見てみろよ」

  そしてワタシのアソコを指差す海斗……。えっ、ええ〜っ!? 女の子のアソコが濡れてるってことは、つまり それはあれってことでっ!! まさかワタシって、興奮してるの〜っ!? ワタシはすぐさま自分のアソコに手を伸ばして確かめてみるのだった。

「う わっ! ホントに濡れてる……って、これはお湯で濡れてるだけじゃないかぁ〜っ!! 騙したなあ、海 斗っ!!」

 恥ずかしさを紛らわす為に、大声を出すワタシ。なんだか大ボケかも?

「ア ハハハハ……。自分でも興奮してるかもしれないって自覚があるから騙されるんだよ。その点オレのコレはピク リとも反応しないからな。やっぱり今日のところは美姫のほうが変態ということで決まりかな?」

 自慢げにふにゃ ふにゃのままのソレをワタシのほうに突き出す海斗。うう……、それって単に勃ちもしないってだけじゃない か。でもそれはそれで安心して攻めることが出来るかも♪

「ふ〜ん、いわゆるイ○ポって訳だね。可愛そうに、その 歳で……」

 海斗が元からの男なら、このセリフで爆砕することが 出来るはずなんだけど、海斗ってば元女だからなあ……、はてさてどう反応するんだろ?

「& hellip;…美姫、いくらお前が元男でも、今は女の子なんだからそういう言葉は言わない方がいいんじゃないか?」

  ショックを受けるというわけではなく、呆れたような疲れたような表情と声になる海斗。なんだよぉ〜、男だ女だって関係ないでしょっ!

「ワ タシを女の子扱いするなら、そんなモノは早くしまってよ。ぶらぶらさせてみっともない」

 ああ、やだやだ。あん なモノ、見慣れてるけど他人の股間に付いてるモノを見たいとは思わないしね。ましてやあの海斗のモノなんて。…& hellip;蹴っちゃおうかな? いや、待て待て、さすがにそれはまずいだろう。あの痛さを知らないわけじゃないし。

「うー ん、確かにこの状態のままではみっともないよ……良し、じゃあ約束しよう。妖精狂いの季節になったら、天を 突くほどに固く大きく立派になったオレのアレをみせてあげよう。いやいや、遠慮しなくても良いぞ。何なら触っても良いし、本来の使用目的に使ってもらって も構わないから。いやあ〜、美姫、得をしたな♪」

 ……な、何を 海斗はっ!

「そんな危ない状態になったソレなんか見たくも触りたくもなければ、ほ、本来の使用目的なんかに使う わけなんかないだろっ!! ああ、気分が悪い。もう帰るっ!」

 ワタシはそういうとバサッと白い天使のような羽 を背中から出すと、風呂から出ていこうとした。

「まあ、待てよ。どうせ今出ていってもまだ服は乾いてないはずだ ぞ。素っ裸のまま空を飛んで帰るつもりか? いや、まあそれもいいかもな。天使は裸が良く似合うから♪」

 確か に海斗の言う通り、まだ服は乾いてないかもしれない。ワタシは羽をしまうと、海斗に指を突きつけ宣言したのだった。

「女 の子が裸で外には出られるわけないでしょっ! というわけで海斗が出てってよ。さあ、早くっ! やっぱり男女がひとつの風呂に入るのはおかしいよ」

  ここはひとつ女の子であることをアピールして海斗を追い出そうと、ワタシは湯船の中にしゃがみ込んでお湯の中に身体を隠すと、恥ずかしそうに怒ってみた。 あれ? でもこの視線の高さって……。

「美姫……、そんなにじっくりと見たかったのか? それならそうと言ってくれれば良かったのに♪」

  そうなのだ。ワタシがしゃがみ込んだことにより、目の前に海斗のアレが……。

「ち が〜うっ!」

 こうしてワタシと海斗は、ああだこうだと際限なく風呂場の中で言い合いをして、結局お湯に当たっ てのぼせて動けなくなってしまったのでした。

 ……馬鹿だ。2人 とも。馬鹿は海斗だけのはずだったのに。



終わり


隠しページに戻る