仕事で遅くなったり 飲みに行って遅く帰って来たりすると エルは 「ワン」と小さな一声で 「おかえり」を言ってくれた
「エル」と 小さな声で応答すると それ以上 吠える事はなかった
12月に入ると エルは 吠える事さえしなくなった
12月24日
中番だったけど 班内での 会議があった為 ちょっと早出となった
出掛ける前に エルを見に行くと 小屋の中で寝ていた
仕事を終え 23時頃に帰宅し エルを見に行くと エルは 小屋の外で俯せになっていた
「エル」と声を掛け 慌てて檻の扉を開けると エルは頭を上げ 体を引きずりながら 自分の方に近寄って来ようとした
自分が檻の中に入り エルをいっぱい撫でてやった
舐めてきたエルの唾液は 何だか泡だらけだったけど もう 撫でる事が出来なくなる気がして いっぱい撫でた
家に入ると クリスマスイヴだったから 母がショートケーキとチキンを買って来てくれてあったけど 食べれる気分じゃなかった
12月25日
夜勤だったけれど 朝から係の会議があった
朝 エルを見に行くか悩んだ
係の会議となると 強く主張しなければいけない時もあり 気持ちを弱らせたくなかった
でも やはり気になり 窓からエルを覗いてみた
エルは 俯せになったままだったけれど 頭を上げ キョトンとしたような表情で 自分の方を見てた
朝は 南側のカーテンを開けて日を入れる事から始める
朝 エルは 家族が起きて来るのを待っている
窓を開け エルに「おはよう」と言った
フリスクを口に含み 無理矢理目を覚まし 前日のショートケーキを無理矢理食べて出掛けた
会議が終わり帰宅 エルの檻の前に行くと 母が檻の前の流しで 大根を洗っていた
「エルは?」と聞くと 「ここにいるよ」と言った
エルは 俯せの状態のまま 檻の出口付近に移動していた
エルを撫でようと 檻の扉を開けると 後ろ足を震わせながら エルが立ち上がった
丸一日 はいずっていたから 自分の尿や便で ちょっと体が汚れてしまっていた
でも 嬉しくて いっぱい撫でた
それからエルは 器に入ったドッグフードを全部平らげて 水をカブカブ飲んだ
何だか 元気な姿を無理矢理見せているように感じた
エルは毛の長い犬だから 寒さには強い
でも コンクリートは冷たいだろうから 毛布を敷いてやった
その中に 父が 自分の古いパジャマを入れてやっていた
夜 出掛ける前にエルを見に行くと 何だか嬉しそうな表情で パジャマに包まるようにしていた
やっぱりエルは 父が一番好きなようだ
ちょっと嫉妬した

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