これは中学から高校まで1着の学ランで6年間通した方の写真である。
とても幸せだったろう。着ていた方も、学ランも。
ボタンさえ変えればOKなので親も経済的に大助かりだ。

しかし1着の学ランで6年間着るには最低でも2つの条件をクリアしなくてはならない。
1つは成長期において身体の成長が学ランのサイズを超えない事。
そしてもう1つが高校の制服が黒の標準型詰襟学生服を指定としている事だ。
俺は中学2年の終わり頃に入学時に買った学ラン(カンコー製155A)が小さくなって袖がツンツルテン、真冬に学ランの中にセーター着込むとピチピチ、そして詰襟部分が圧迫されてホックすると呼吸困難になりそうなぐらいになってしまった。
卒業まであと1年だったが、どうしても我慢できなくて中学3年になった時点で親にお願いして新しい学ラン(カンコー製170A)を買ってもらった。買ってもらう上で親と約束したのは『標準型詰襟学生服の公立高校へ入って高校でもこの学ランを着る』という事だった。
俺は受験を頑張って親との約束を守り標準型学生服の公立高校に合格した。しかし合格後に俺らの学年から男子の制服だけがモデルチェンジをしてしまい、シャドーストライプの入った学校指定のオリジナル学ランに変えられてしまったのだ。当時はまだ襟のカラーはプラスチックのものが普通だったが、この学ランは現在の主流であるソフトカラーを当時では珍しく採用していて、それがダサさをさらに引き立ててしまっていた。もう19年前の事だ。
(※この写真はあくまでイメージです。自分が高校で着てたものとは違います。)
親もガッカリはしたが、高校側が勝手にやった事なので俺は文句言われなかったが絶望的な気持ちになった。せっかく中学で着慣れたカンコー製ポリエステル100%170Aの学ランで新しい高校生活をスタートしようと期待に満ちあふれていたのに。
俺は標準型学生服を着ている2年や3年の先輩や近隣のよその高校生、そして中学生に対してはすごく引け目を感じてしまい、こんな恥ずかしい学ラン姿を見られるのが嫌で隠れるように通学して3年間を過ごした。家に帰ってくると速攻で学ランを脱いでいた。なんか着ていたくなかったのだ。これが中学と同じ普通の学ランだったら大好きだから家でも風呂に入るまでその格好でいただろう。
皮肉にもそれから10年ほどで母校は中高一貫になって制服も全面改良されて男女お揃いのブレザーになった。結局俺らの着させられたあのダサい学ランは何だったのか?
あそこであんな学ランに変えた意味は何だったのか???
実はここ数年、俺の地元では特に公立高校において学ランやセーラー服をそういった学校指定のオリジナルにモデルチェンジする動きが多くなってきている。

学ランだと生地がオリジナルでグレーや紺だったり、セーラー服だとセーラー襟のブレザーだったり。
俺の勝手に定義付けたあくまで標準的な学生服のイメージは、
男子=黒の標準型詰襟学生服
女子=濃紺または黒いセーラー服(白で2本もしくは3本ライン)
である。
上記であれば修学旅行などで日本全国どこへ着て行っても恥ずかしくはない。
汎用性が無いブレザー等であれば話は別だが。
しかしこの標準を外れたオリジナルの学校指定な学ランやセーラー服っていうのは何かこういかにも『着させられている』感が強くて拘束感がアリアリだ。
最近そういうのに萌えるようになってきた。
例えばN津工業のグレー学ランとか、あんなのよく街中で恥ずかしくなく着てるよな〜。
むしろ見ている方が恥ずかしいわ、みたいな・・・。
あれだったら芋っぽい着こなしの学ラン中学生の方がはるかにマシ。
そう考えると俺も高校の時、あのダサいシャドーストライプの学ラン姿で放課後とか街中を闊歩して恥ずかしさをアピールしてやれば良かったなぁ〜と後悔している。
標準型学生服の高校生どもがたむろしている本屋などにわざと寄って彼らに囲まれる事で嫉妬心や羞恥心をむき出しにして・・・。
もしかしたら俺ってMなのかもしれない。

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