吃音持ちです。   サラリーマンです。 たまの休日、二度寝ができると幸せです。                     

2016/7/29

シンゴジラ  映画

夜、T-ジョイ蘇我。

「シンゴジラ」【以下ネタバレ注意】

真面目なSFを期待していたが、その上を行かれた。
超硬質なポリティカルフィクション。

想像を遥かに越えた禍々しさのゴジラ。
ゴジラにリアルさなど要らない。
重要なのはゴジラに対する人間社会のリアクションのリアルさなのだ。

ゴジラという「虚構」じみた怪物が人々が持つ生ぬるい「現実」を徐々に侵食しはじめる。被害が拡大していき、東京中心部を破壊し尽くし神々しく屹立する所で作品のボルテージは頂点に達する。この時点でこの映画の使命は十全に達成される。なにも流血や死骸や、被爆した子供を映す必要などない。
震災から5年。遅きに失したが、ようやく東京が大災害の当事者としてきちんと描ききられた。
この事の意義は大きく、同時にこの5年の日本の作り手達の怠慢でもある。

2012年最高の1枚と言われたアルバム、ceroの「MY LOST CITY」は最速とも言えるタイミングで震災を真正面から扱った音楽だった。(それまで都市のカタストロフィーを明るく歌い上げてきた彼らはそこから逃れる事はできなかったし。逃げなかったからこそ、その後のヒットに繋がった。)
そこには震災に対する東京の距離感が正直に告白されている。
曰く東京にとっての震災は「都市の喜びを支えるもののタガが今外れ」て「(回線が)一つずつ断ち切られていく」程度の問題であって「放たれた家畜とエネルギー」と「水蒸気爆発」で満ちた「狂乱と空白のワイルドサイド」は「遥か嵐の向こう」でしかなかった。

震災当時、避難所の子供達が「津波ごっこ」の擬似体験を通じて恐怖を乗り越えたように、
日本全体にとっても同様に作用する大掛かりな装置がもっと早く必要な筈だったのだ。


最後には現実的に地に足の着いた人間達がこの厄災を克服していく。
少しお涙頂戴のプロジェクトXだったが、まあ許容範囲。
ゴジラの倒し方がアメリカンコメディ調で笑えても、そんな事はどうでもいい。

事前に公開されていた映像を見て感じていた不安は全て杞憂だった。
即ちアニメ臭いカット割りを実写でそのままやる事の愚。石原さとみの演技が浮きまくっているのではないかという疑惑。300を超えるキャストが独自の演技プランで突っ走って収集がつかなくなる悪夢のような不安。
エヴァで観たような既視感のあるカット割りが随所にあったが、それ程の違和感を感じなかった。むしろ庵野節を彩る華といえる。
石原さとみが演じる米国大統領特使。一定の空気でまとまる日本政府高官達の間に入り込んで空気をかき回す難しい役。見事にやりきった。
これでもかという豪華キャスト陣は実写だからこその威力。アニメではとても端々の役にまでキメ細かい演技はさせられなかっただろう。

「核が使われる前になんとかする」というのは庵野監督アマチュア時代の傑作「帰ってきたウルトラマン」と同じ構図。
一作目のように「溶かす」のではなくて「凍結させる以外にない」というのは庵野監督のこだわりか。ひょっとしたら「シンゴジラ2」があるかもしれない。その時には、ゴジラを描くと同時にゴジラよりも恐ろしいものを描く事になる。


7/30の昼に2回目行ってきてパンフも買ってしまった。
KREVAがあんな役を・・・。

7/31もまた観に行ってしまった。
生まれてこの方、映画にこれだけ入れあげた事がない。
もうサントラは買うしかない。
脚本、又は戯曲が出たら即買い確定。
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2016/5/23

不幸の家族  舞台

夜、下北沢。
下北タウンホール地下、小劇場B1へ。

下町ダニーローズ第18回公演「不幸の家族」

久々のダニーローズ観劇。「ヴェニスの商人?」以来か。
今回はかなり良いお芝居だった。見違えたと言っていい。

スジに関しては、「志らく師だったらこれ位はできるだろう」という程度。
ネタバレになるので千秋楽後に書くが、少し掘り下げが足りないと思う箇所があった。

では何が良いか。
まずテンポが格段に良い。
暗転がソツなくスマートに見れる。
そして主役級の一人、ぜんじろうさんの大活躍。

今まで見てきたダニーローズはツッコミ役が不在といっても良かった。舞台上に発生した違和を観客に告発する機能がとにかく弱過ぎた。
単体で観客の笑いも誘えない、拾おうとしても拾いきれないボケがそこらじゅうに投げ捨てられて見苦しい場面が多々あった。

ぜんじろうという鍛え抜かれた強靭なフィジカルのツッコミ役が、身体をすり減らしてボケを拾いまくることで、舞台が喜劇として健全に機能した。組織に対して献身的とも言えるハードワークに感動。モロ師岡が一番生きる芝居になったのが何より良かった。(さすがに原武昭彦だけは御しきれなかった感あり)

志らく・師岡コンビの一番の泣かせどころは流石に持って行かれた。
(あのシーン、純白のシーツの一枚でも干しておいて、照明を明るめに焚くと更に良かった)

ラスト、寓話の中で更に寓話的な方向に飛躍して悲劇を回避する方法は好ましい。
「こうでもしないとやってられない現実」はもうすぐそこまで来ているのかもしれない。
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2016/1/21

立川らく兵独演会  落語・演芸

夕刻、上野広小路亭。
東京には残雪がちらほら。

立川らく兵独演会

「長短」 らく兵
「禁酒番屋」 らく兵
 仲入り
「富久」 らく兵

無理して来て良かった!
今日この時点のらく兵さんの「富久」を観れたのは大きい。
10年後、20年後、30年後の「富久」が楽しみ。

全体的に凄みが増したらく兵さん。
かと思えば種々の細かな所作に如才ない工夫を感じる。
完全に「富久」の壮絶な世界に入り込んだ。
こんなに早くこんな日が来ると思っていなかった。

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2015/12/30

今年一年読んだ聴いた  その他

部屋の掃除をしながら、

今年一年読んだ本と聴いたCD(落語・演芸以外)を羅列。
分かったものだけ。

(文章)
「メモリースティック」九龍ジョー
「新しい音楽と言葉」
「ニッポンの音楽」佐々木敦
「日本のロック名盤ベスト100」川崎大助
  好著、今まで食指の動かなかった名盤に
  手を伸ばす気にさせる一冊。
「地平線の相談」細野晴臣 星野源
「星野源雑談集1」
「職業としてのAV女優」中村淳彦
「女子大生風俗嬢」中村淳彦
「イスラム国の正体」国枝昌樹
「骨が語る日本人の歴史」片山一道
「弥生時代の歴史」藤尾慎一郎
「古代史の謎は『鉄』で解ける」長野 正孝
  PHP新書なので期待はしていなかったが、
  なかなかの妄想オンパレード作品。でも視点は良い。
  自分自身、弥生〜古墳時代期の人々が
  余剰作物を鏡や刀剣に変換する方法を想像できていなかった。
  作物→生口が交換材か・・・、そういう考えもあるか。
「泣けるプロレスメモリアルマッチ」
瑞佐富郎と泣けるプロレス制作委員会
「タモリと戦後ニッポン」近藤正高
「キッチン」吉本ばなな
  ドの付く程スタンダードな名作を今更。
  ラストの変則ロミオとジュリエットを書ききる筆力が凄まじい。
「ステーキを下町で」平松洋子 画・谷口ジロー
「マンガの論点 21世紀日本の深層を読む」中条省平

今年は質、量共に大した読書をしていない。
仕事後を体力の回復に回す比率が多くなった。


(音楽)
「Obscure Ride」cero
  おそらく歴史的な名盤になっていくのだろう。
  3年間の準備期間でサウンドをガラリと構築し直したcero。
  身体に染み入るシャレオツ・ブラックミュージック。
  日本のポップの到達点を軽やかに更新。
  今まで体内に持っていた「ブラックミュージック」が
  完全に再インストールされてしまった。
「BLACK RAIDO」ROBERT GLASPER EXPERIMENT
「BLACK RAIDO2」ROBERT GLASPER EXPERIMENT
 「Obscure Ride」制作にあたって参照音源の一つらしい。
  中心人物、ロバート・グラスパーはジャズピアニスト。
  ジャズとファンク、ヒップホップ等の融合というと
  90年代からすでに行われている事で特に目新しい事ではない。
  音を聴く限りでも特に「EXPERIMENT」感は無い。
  (JAZZ側からのアプローチという意味では、EXPERIMENTか?)
  ところがどっこい、洗練のされ方の半端なさ。
  圧倒的な聴きやすさとオシャレさ加減。
  出だし「Lift Off/Mic Check」からのエリカ・バドゥ参加の
  「Afro Blue」は鳥肌モノ。
「Album」GUIRO
  もう少しなんとかならなかったのかと言いたくなるタイトル。
  名古屋のインディーズバンドにして知る人ぞ知る名盤らしい。
  やや耽溺気味の教養高め歌詞がアンニュイに書き綴られ、
  複雑なメロディーとアンサンブルか軽妙に絡まる名曲群。
  背後には鉛のような厭世感が沈殿し、アルバム全体を支配。
  停滞の2000年代、格闘の記録。  
「表現」表現(Hyogen) 
「旅人たちの祝日」表現(Hyogen)
「琥珀の島」表現(Hyogen)
  まるで大学の演劇サークルの様な青臭くド直球なグループ名。
  日本史のどこかの時点で分岐した(例えば元寇に支配された)
  もう一つの日本で演奏されている音楽はこんな感じなんだろう。
  不思議なトランス感覚。
「Choose Your Weapon」Hiatus Kaiyote
  メルボルン結成のネオソウルユニット。
 (このジャンル名にはもう殆ど意味がないとは思う)
  海外のファミコン世代が紡ぐ狂気のクロスオーバーファンク。

「far/close」古川麦
「ぱぱぱぱ。」あだち麗三郎
「See You, BLUE」(((さらうんど)))
「世界各国の夜」VIDEOTAPEMUSIC
「YELLOW DANSER」星野源
「STAKEHOLDER」tofubeats
「POSITIVE」tofubeats
「FANTASMA」CORNELIUS
「空中キャンプ」フィッシュマンズ
「サニーデイ・サービスBEST 1995-2000」
「Solid State Survivor」Y.M.O
「センチメンタル通り」はちみつぱい
「SUNSHOWER」大貫妙子
「Grey Skies」大貫妙子
「ひこうき雲」荒井由実

「Midnight Marauders」A Tribe Called Quest
「VOODOO」D'ANGELO
「Flatfoot Hustlin'」The Sidewinders
「SEVENTY SEVEN RECORDS」THE BRIEF ENCOUNTER
「The Olatnum Collection」ARCHIE BELL & THE DRELLS
「The PLATINUM Sllection」DE LA SOUL
「THIS BOOT is made for FONK-N」BOOTSY'S RUBBER BAND
「My Whole World Ended」DAVID RUFFIN
「MAKINGS OF A DREAM」CRACKIN'
「What's going on」MARVIN GAYE
「mama's gun」ERYKAH BADU
「Worldwide Underground」ERYKAH BADU
  「Obscure Ride」の後だと聴き馴れたエリカ・バドゥも
  新鮮に響いてくる。
「THE BRAND NEW HEAVIES THE BEST OF 20 YEARS」
「FOREVER FREE SOUL COLLECTION」
「OUT OF THE BLUE」

「COMPLETE RECORDINGS1958-1961」JOAO GILBERTO
「Sanba Carioca」VINICIUS CANTUATIA
「CEU」CEU
「embalo」Tenorio Jr.
「MILTON NASCIMENTO」MILTON NASCIMENTO
  ブラジル音楽を当てずっぽうで適当に。
  市場が巨大なのでとても一括りにはできない。

「Debut」bjork
「Post」bjork
「Medúlla」bjork
  
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2015/10/23

奥田民生2015年ツアー秋コレ  音楽

夜、市原市民会館
「奥田民生2015年ツアー秋コレ」

1000人位のキャパのホールがほぼ満席。
自分は遥か後方の席。

ギター、ベース、ドラム、キーボードの至ってオーソドックスな編成。
音楽的にも特に目新しい所のない、形式美的ロック。
それを飄々とプレイするのが最大の特徴。
キャッチーなフレーズを極力排除した曲を、脱力して歌う。

はっきり言ってノリにくい。
かなり上級者でないと彼のライブは楽しめないだろう。
でもなぜか(少なくとも商業的な成功では)紛れもなく90年代屈指のロッカー。
自分はモロに世代だが、全く引っかかることなく青春を過ごした。
今回も魅力が良く分からないまま終わる。

音質への拘りは並々ならないものを感じた。
やっている事はコテコテのロックなのに、驚く程耳障りが少ない優しい音。

地の語り口がえも言われず魅力的なのが、彼の人気の理由の本質的な部分なのかもしれない。

自分は座ってゆっくり聴きたかったが、目の前のオバさん(多分自分と同年代)が立ち続けてて、延々と訳のわからない気持ち悪いノリ方をしていた。目障りこの上ない。

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