本多孝好「MOMENT」
装丁:木村裕治 杉坂和俊(木村デザイン事務所)
装画:ルチオ・フォンタナ「空間概念、期待」1962年(62T34)
出版:集英社、2002年
ACT.1 FACE
ACT.2 WISH
ACT.3 FIREFLY
THE FINAL ACT MOMENT
とある病院で語られる、噂話。
死を間近にした患者の願い事を一つだけ叶えてくれる、必殺仕事人伝説。
なりゆきで、その必殺仕事人になってしまった「僕」は、死を控えた人々の願いを聞くのですが・・・
と言うと、ドロドロした暗い話になりそうですが、僕の性格があまりにも飄々としていて、人をくったような感じなので、あっさりさっぱり、コミカルですらあります。
戦時中、自分が殺した人の家族を見てきてほしいと言う老人。でもその相手は。
旅行中に一緒に写真を撮った人に会いたいという少女。でも実は。
病状を留守電に毎日報告する女性。相手は。
必殺仕事人伝説のおおもとの話。それは。
人は、死ぬときに何を考えるのでしょうか? 何を願うのでしょうか?
「フォーティーン」の「大華日の夜に」にも、死ぬ間際の人が登場しましたが、彼も似たようなことを願っていました。
結局、願い事は全部、見えているとおりのものではなかったわけで。
必殺仕事人伝説そのものさえも。
願い事を通して、依頼人のこれまでの人生が垣間見えるのですが、死が間近なわけですから、これからの人生に関わることは出来ません。それどころか、死んでしまった後になって、依頼人のことがようやくわかったりします。
主人公が、「これから」に関わることが出来るのは、特別室の患者と外国帰りの院長の息子。それと幼馴染の葬儀屋の娘だけです。あと強いて言えば変人の掃除のオバさんも加えていいかもしれないけど、それだけです。
お互い影響を及ぼしたり受けたりして、「変われる」のは、生きている人間の特権なんだなと思いました。
三話目のfireflyって蛍って意味なんですね。火の蝿なんて、あんまりな気が・・・。

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