浅倉卓弥「四日間の奇蹟」
イラスト:クサナギシンペイ カバーデザイン:松崎理
出版:宝島社(宝島社文庫)、2004年
2002年、第1回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞を受賞、2003.1に単行本として刊行されたもの
解説:茶木則雄
『このミス』第一回の受賞作です。
解説に、「物語の核となる仕掛けがある人気作家の先行作品とほとんど同じ」って書いてありますけれど、誰のことでしょう? わりとありがちな話ではあります。赤川次郎とか東野圭吾にもあったし・・・って、東野圭吾の「秘密」か。確かに似てます。
主人公の青年は、普通の人には見つけることすら難しい「人生の目的」をしっかりと持った人物でした。それを失ってしまったら、人はどういう行動をとるのでしょう。
最初から持っていなければかえってどうということもなかったのかもしれませんが、いったん持ってしまった以上、新たな人生の目的を見つけるしかありません。
知的障害をもつ少女との演奏旅行は、リハビリでもあり、代償行為でもあるのかもしれません。千織は、最初のうちはCDなりレコードなりのコピーでしかないのですから。録音機を持って旅するのと大してかわらないかもしれない。
このあいだ見た映画にもあったなあ。知的障害のある子が、記憶に関することにすごい才能を見せる。サヴァン症候群。
芸術を鑑賞するときに、芸術品そのものだけではなく、それをとりまくものも含めて見聞きしている気がします。一緒に鑑賞する人、場所、季節、そのときの悩み、さっき食べたもの、芸術鑑賞の前に見ていた物、話したこと。また芸術家の背景、生い立ちや誰に師事したかなどの知識。そういうことをはっきりと意識しないにせよ、総合して、目の前の芸術に投影している気がするのです。
専門家ならともかく、素人が「なんかよくわからないけどイイな」と思う時には、多かれ少なかれそういうものが入っているのではないでしょうか。だから人によって、受け止め方が変わるのかなと思います。
透き通って、優しくて、とても哀しい四日間。
四日間の奇蹟の後、千織は「間違えること」を覚えます。レコードからの脱却です。完璧でないところから、芸術って生まれるのかもしれません。

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