夢枕獏「陰陽師 瀧夜叉姫 上・下」
装画・装幀:村上豊
出版:文藝春秋、2005.9
初出:「オール讀物」2003.2〜2005.3 『岩戸ノ姫鬼譚』を改題
上巻を読み終えても、「瀧夜叉姫」の名が出てこず、たぶんこの女の人のことなんだろうな、で、この滝子という女の子が・・・などと考えていたのですが。
この「瀧夜叉姫」、江戸時代の伝奇物や歌舞伎で登場するそうで。知識のある人なら、タイトルを見た瞬間にこれが誰のことなのか、ということは何を題材にした物語なのかがわかるわけですね。
まあ、知識のある人なら、小野好古・俵藤太・浄蔵・平貞盛・藤原師輔・源経基という名を見たとたんピンと来るのかも。それぞれの逸話も、実際にあるものから取っているようです。
そういえば浄蔵って、このあいだ呼んだ短編集にも出てきてたな。あの恋愛話の逸話も実際にあるものなのでしょうか。
物語は、さかのぼること19年前。晴明が百鬼夜行を目撃するところから始まります。例によって、ぶつりぶつりと啖いついたり、ぞぶりぞぶりと血をすったり、ごつんごつんと骨を噛み切ったり、擬音が非常に独特で生々しい。
このときの晴明は単なる目撃者ですが、それから19年たち、名声も地位もあるひとかどの人物に、奇妙なことが起こり始めます。
彼らの共通点は、19年前、ある討伐に関わったこと。
斬ったら20年は傷口がふさがらぬという銘刀、黄金丸。その20年を目前に、何が起こり始めているのか?
そして児干とは何なのか・・・?


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