恋と〜を変更し、こちらに変えさせて頂きます。
人物や設定的な物は同質だったり違ったりしますが、とりあえず
「嗤うのは誰か…?」のシリーズ的な感じと受け取ってもらえればいいです。
では拙い物語ですが、暫しお付き合いを…。
『連続強盗殺人事件がついに六件目となり…』
ニュースでは依然犯人の手掛かりさえ掴めない事件を報道していた。夏休みまで一週間を切ったある昼間、灯夜逆燈莉はだらしなくソファーに寝そべりながらニュースを見ていた。明日から夏休みが始まるまでの数日は先週終わったテストが返却され、その結果に安堵する者や絶望する者が生まれる期間となる。燈莉は毎回成績優秀者の列に名前が記載されるので何の不安もなく、自己採点の結果もまずまずいつも通りだったので夏休みまでの残りは級友達に会う為だけに学校に行くようなものだった。
ただ、燈莉のクラスメイトであり恋人である釘咲深夜に至っては、そうもいかないようだった。
テスト一週間前になり、深夜は燈莉に勉強を教えにもらいに来た。
表向きの理由は、だが。
本心は燈莉の部屋に上がりたいが為に普段しないテスト勉強を一緒にしようという下心だった。はたして深夜の思惑通り燈莉の部屋に入室する事に成功したのだ、が。
問題はこれからだった。
テスト一週間前であり、普段の深夜は三日前からでないと始めないテスト勉強(だからこそ成績も芳しくなくそれでも中の中という成績を維持しているのは驚きですが)であるが、そもそも成績優秀者の燈莉は根本的にテスト勉強というものをする事はなく、日常的に予習復習の勉強しているからこそテスト前日といえどある程度テスト範囲を復習し拾い残しがないか確かめる程度で済むのであった。
だから、本当に燈莉は付きっきりで深夜の勉強を見る事となる。
深夜としてはお互いに教科書ノートを広げ黙々とした中ふと顔を上げると二人の目が合い…というような展開を期待していたらしい。
だが現実は甘くなかった。まず燈莉は深夜の現在のレベルを確認するべく簡単な小テストを行った。そしてその点数に普段無表情で滅多に感情の起伏がないはずの燈莉の口がひくひくと笑ったように痙攣したのだ。そこからは凄惨な光景としか言いようがない。深夜は学校が終わるとすぐ燈莉の部屋に連れて行かれ、燈莉が作った問題集、またテスト範囲を網羅したノートの暗記、そして確認の為のテストを休憩を挟む事無く繰り返し実行された。夕刻の時刻を過ぎ世界が闇色に塗り潰され世界が眠り始める頃、やっと解放される。そして翌日学校に向かい前日やった事を休み時間毎に質問形式で確認を行うのだ。普段深夜とつるんでいるクラスメイト達も、この時ばかりは誰も近づいて来ず、何か恐れるように二人を遠巻きに見守っていた。そしてつい一昨日、テストが無事終了し深夜は倒れた。どうやら根を詰め過ぎて無理をした結果の過労という事らしい。さらに燈莉から成績が上がらなかった場合恐ろしい事になると自覚していたらしく、ほとんど睡眠を取らず勉強に費やした事もそれに拍車をかけた結果となった。深夜は明日から返されるテスト結果を恐れながら今もベットで寝ているだろう。責任の一旦である燈莉としてはお見舞いに行こうか悩むところで、どうしようか悩んでいるうちに昨日は過ぎてしまい、今日に至るという事だ。
どうしましょう。
テレビはただ点けただけで実際に頭の中に情報は入ってこない。何となく点けたテレビでは最近話題の連続強盗殺人事件について同じ事を繰り返し報道していた。新しい情報が出てこなく、番組側としても同じような内容や犯罪心理学者の自分勝手な見解を放送し、無責任な犯人像を作るだけだった。
そんなニュースなど耳に入って来ず、ただひたすらどうしようか燈莉は悩んでいた。
私が柄にもなく熱くなり深夜に無理をさせた事は事実ですし、しかしここでお見舞いに行くというのもなんだが負けたような気がします。
燈莉としては深夜の普段の勉強不足が招いた過労であり、燈莉自身には確固たる責任はないのだが、無理をさせた事は事実で、しかしお見舞いに行くという事はそれを認める事となり、何となく負けた気分になるという面倒くさい心理状況にあった。
素直に行けばいいのだが、燈莉のプライドのようなものがそれを邪魔する。
私に責任は…ありません。本来勉学を怠っていた深夜に問題があり、私はそれを手助けする為に行ったわけで、でも遅くまで拘束していた事は事実ですが…。
一昨日から同じ事を何度も何度も繰り返し考えていた。燈莉の心の中を単純化すれば、お見舞いに行きたい、だけど行った場合深夜に対し借りを作ってしまうのではないか。それは癪でありプライドが許さない。だけど会いに行きたいし…という感じだった。
段々考えるのが面倒になったのか、いい加減無駄な事をしているのに気付いたのか、燈莉はガバッと勢いよく起き上がる。
そうです。そもそも彼女が彼氏の家に行くのに問題はないですし、体調が悪いのですから看病しに行くのも至って普通ではありませんか。
燈莉は最終的に「今回倒れた責任」を置いといて、「彼氏の看病に行く彼女」という図式を導き出した。結局悩んでいた事と関係ない結論に至った。
善は急げと燈莉は身支度を整え、出かけようとするが病人がいるのに手土産なしというのもどうかと悩み、だけど今から何か作っていく時間的余裕もなく、貰い物の未開封のお菓子を持っていく事にした。よほどテンパっていたのか、お菓子を包装した方がいいと考え手近にあった新聞紙で包もうとしたが途中で何をやっているんだと気づき、包装はやめて紙袋に入れて持っていく事にした。
別にこれでもいいでしょう。何も初めて行く家でもありませんし、下手に包んであるというのも相手に気後れさせてしまうかもしれません。
燈莉は広げた新聞紙を簡単に畳み、いそいそと出て行った。
燈莉が包装紙に使おうとした新聞は若干しわが出来ており、お世辞にも綺麗に畳めているとは言い難かった。それだけ燈莉が焦っていたのが解る。新聞の見出しは先ほどニュースでもやっていた連続強盗殺人事件であり、その凶悪さが熱弁を伴って書かれていた。その下の方、連続強盗殺人事件のせいで小さく書かれてしまっている記事があった。
連続通り魔事件。
本来ならもっと大々的に書かれるべきであるはずが、事件の内容が腕に切り傷や髪、服が切られたという軽傷・悪戯レベルであるが為、重要視されずこのような扱いとなっていた。
犯行の行われた場所は全て、燈莉の住む町。
NEXT GO