まどろみの中に眠る。
それは闇の中?
それは光の中?
違う、それは、ただの…
現実。
どれくらいそうしていただろう。
ただ、十分や二十分ではない事は、確かだ。
どれくらいで死体が冷たくなるのか知らないけど、自分に覆いかぶさっている父親が、物凄く冷たい。
いつまでもこのままじゃいけないので、私は父親をどかして立ち上がった。
「あーあ…」
服に血が染み込んでる。
これは…洗っても落ちるだろうか?
まず最初に、服を脱ごうと思ったけど、視界の端に父親の死体が入った。
このまま父親をここに置いて置く事はできない。どうせ片付けるとき、また汚れるだろうな。
着替えるのは、それからでも遅くはない。
私は着替えるのをやめて、父親を風呂場へと運ぶ。
お、重い…
死んだ人間とは、予想以上に重く、風呂場までの数メートルが長く感じられた。
やっとの思いで風呂場まで運び込めた。
疲れた…さて、この後どうしようか。
風呂場まで運んだはいいけど、はっきり言ってこれはただのイレギュラーな出来事。
父親が勝手に転んで、たまたま私が持っていた包丁に倒れこんできた。
なんと不運な父親だろう!まあそれはどうでもいいとして。
死体を処理する為の道具なんて、常時家にあるわけがない。
…バラバラにして、何処かに埋めるのがいいだろうか?
バラバラなら、運ぶのにも楽だろうし。
明日学校の帰りにでも、鋸を買ってくるか。
先の一応の目処がついたので、とりあえずシャワーでも浴びて、すっきりしよう。
さすがにこの血だらけの服を着たままは嫌だった。
その時、重大な事に気づいた。
風呂場には、父親の死体。
風呂は、一つしかない。
ということは…
また、父親を出さなければいけないのか…?
数分悩んだ後、私は服を脱いだ。
面倒だったので、その夜私は、父親の死体と一緒にシャワーを浴びるという、人生で一度あるかないかという貴重な体験をする羽目になった。
…なんか、危ない人みたいだ。
風呂から出て、私はすぐに寝る。
色々な事が起きて疲れたというのもあるけど、まず何より、明日は学校があった。