数理科学と日本古代史のブログ

 

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投稿者:Stromdorf
>後者は前者を抽象して得られたものである

 ええ。全くその通りなんですよ。
 で、何でこういう論の立て方をしたかというと、私は通常の「構文論」と「意味論」の区別の仕方にある種の不満を感じているからなんです。

 「等号とは、T=T という等式と、S=T,R(S)├ R(T) を推論規則に持つ2項述語として規定される」というのは「構文論」の議論で、「S=T は S と T は同じモノであることを意味する」と定義するのは「意味論」の議論である、として通常両者は一応全く別の概念とされますし、実際にそうです。
 これに対し、私の「形式化の原理」という論法は、上記で言う「意味論」を更にシンタクスにおける概念、すなわち「S=T は S と T は同じ記号列であることを意味する」という言明に限定して意味を更に特定した上で、この(記号列に関する)意味論的概念が持つ構文論的性質である「T=T という等式と、S=T,R(S)├ R(T) が成り立っている」という事実を理論内部の規則に「翻訳」したものを推論規則に定めることによって理論拡大したわけです。
 つまり、通常は「意味など考えない、単なる公理・推論規則」であるとされる「T=T」とか「S=T,R(S)├ R(T)」に対して、なぜそんなものを推論規則にするのか、という動機付けの議論をしたわけです。その一点が私の議論で最も言いたかったことなんです。

 形式体系というのは、任意の記号を任意の推論規則・公理と共に導入することができます。そしてそれは、(無矛盾である限り)何でもアリです(数学者が興味を持つか、応用があるかという問題は別として)。
 しかし、形式体系の推論規則や公理の「根拠」などという概念は数学の議論としては「無意味」ですが、これを「記号列に関する性質」という、いわゆる「証明論的意味論」上の性質を、理論体系内部の概念として「翻訳」したような推論規則・公理のみによって理論を拡大したものである場合に、その形式体系は「根拠」があると言うことにしよう、という一つの「数理哲学」上の立場を解説しているわけです。
投稿者:Anonymous Coward
要するにa + 0 = aは
「a + 0とaが『同じ記号列である』という概念を抽象化して得られるところの或る種の同値関係を満たす」ということを意味するのでしょうか。

辻褄が合うことは分かりましたが、
「同じ記号列である」という概念は等号=によって表される等しいという概念の特殊例に過ぎない、逆に言うと後者は前者を抽象して得られたものである、という言い方に留めるのが普通かと思いますが…
投稿者:Stromdorf
 私の「形式化の原理」というのは、最初に等号という概念を定義する際に「項 S と項 T は同じ記号列である」という性質をメタ言語で S=T と略記した上で、このメタな概念が満たす性質のうち、「T=T」という等式と「R(S) と S=T から R(T) が導出できる」という2つの性質を推論規則として追加しながら = を理論内部の記号として追加する、ということです。

 そして、この段階では(理論内部の概念としての)自然数は、まだ定義されていません。
 自然数に対する a + 0 = aとか a + S(b) = S(a + b) のような等式は、自然数という概念を定義する際に、既に定義されている等号の性質を用いて定理として導出できるように自然数の加法を定義する、という手順を取ります。

 要するにこういうことです。2項関係 S=T を「項 S と項 T は同じ記号列である」という意味だと定義する、というのは、あくまで形式化する前のメタな段階の話であり、ひとたび「形式化の原理」で形式化してしまった後では、S=T は最早そういう意味を持たず、ただ「T=T」という等式と「R(S) と S=T から R(T) が導出できる」という2つの推論規則によって特徴付けられる2項述語である、というだけのことに過ぎない、ということです。

 こういう説明で理解していただけたでしょうか?
投稿者:Anonymous Coward
すいません、
>この「項 S と項 T は同じ記号列である」という性質を S=T と略記して
ということは、例えば自然数論の
a + 0 = aとか
a + S(b) = S(a + b)とか
そういう等式は扱うつもりはないと言う事ですか?
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