さて、相異なる対象が少なくとも一組存在する、すなわち
(1)
a ≠
b
を満たす項
a と
b が存在するような理論では、ε量化記号に対して、通常の推論規則:
(2)
R(
t) ⇒
R(εx
R(x)) (ただし
t は任意の項)
に加えて
ε公理:
(3) ∀x(
P(x) ⇔
Q(x)) ⇒ εx
P(x) = εx
Q(x)
を仮定すると、任意の命題
R に対して排中律:
(4)
R ∨ ¬
R
が成り立つことを証明しましょう。
実際、命題
P(x) と
Q(x) を、
(5a)
P(x) ≡ (x =
a ∧
R) ∨ x =
b
(5b)
Q(x) ≡ x =
a ∨ (x =
b ∧
R)
で定義します。このとき明らかに
(6a)
P(
b)
(6b)
Q(
a)
が成り立ちますから、項
s と
t を
(7a)
s ≡ εx
P(x)
(7b)
t ≡ εx
Q(x)
で定義すると、(2) により
(8a)
P(
s)
(8b)
Q(
t)
が成り立ちます。ところが、これらはそれぞれ
(9a) (
s =
a ∧
R) ∨
s =
b
(9b)
t =
a ∨ (
t =
b ∧
R)
が成り立つことを意味しますから、場合分けにより
(10a)
s =
a ∧
R
(10b)
t =
b ∧
R
(10c)
s =
b ∧
t =
a
のいずれかが成り立ちます。
このうち、(10a) と (10b) の場合は
R が成り立ちます。
また、(10c) の場合は、
R を仮定すると、(5a) と (5b) は同値な命題になりますから、(3) の左辺が成り立ち、従って (3) の右辺、すなわち
(11)
s =
t
が得られ、これと (10c) から
a =
b が得られるので (1) と矛盾します。すなわち (10c) のもとでは ¬
R が成り立つことがわかります。
以上により、任意の命題
R に対して排中律 (4) が成り立つことがわかりました。