築地書館からでてる”反グローバリズムで1000万人が生きられるわけ=スローライフ大国キューバリポート”という本は面白かった。
日本はアメリカ抜きに生きられないという固定概念にとらわれている人は多いと思うが、アメリカ抜きで日本が生きるにはどうしたらいいかということから発想すると、結構いろんな選択肢がひろがり、楽観的な未来が広がる気がする。そうした発想の転換の一例として読むといろいろ参考になった。
冷戦終結で、ソ連の援助が途絶え、経済封鎖と同様な状況に陥った島国キューバが、どのように食糧自給と循環型社会をめざしているかというリポートになっているが、化学肥料と機械化に依存した近代農法が経済封鎖で不可能になり、地域共同体に依拠した兼業体制と自然農法を確立せざる得なくなったことで事態を好転させたというところは、示唆に富んでいると思う。
国家社会主義体制では、中央集権的な計画に基づく画一的な人員配置、資材配給を行い、機械化と大量の化学肥料、農薬などに依存した近代農法がおこなわれたようだ。しかし、それは生態系そのものを破壊し土地の自然治癒力を低下させ、資材依存を促進させ、負の連鎖を推進するものだった。(自由主義国家でも同様だが)
その中で輸入に頼るエネルギー、農業機械、化学肥料、農薬の供給が途絶えると食糧生産は壊滅的な打撃を受ける。北朝鮮のような飢餓状態になるわけだが、自然環境に恵まれる一方、中央集権による地域コミュニテイの空洞化がなかったキューバでは、自然回帰への障害が少なかったことが幸いしたようだ。
再生可能な状態に生態系を保ちつつ、生産量を保つためには、地域に密着したきめの細かい施策と大量の人手が必要不可欠となるが、他の仕事に従事しつつ、食糧生産にも従事できるフレキシブルな地域共生体制(日本の農村でもよく見られる)が重要な役割を担ったようだ。
エネルギーなど輸入に頼っている部分では、再生可能な自然エネルギーへの転換と、総量規制を地域共同体に担わせ、住人一人一人が主体的に協力して生活を守る体制をつくっている。
社会主義が破綻した最大の要因は、生産手段の国有化=強力な中央集権とそれを牛耳る官僚システムの腐敗、軍事力強化偏重による国民生活の疲弊だと思う。それを克服しようとするキューバの生産手段の社会化と自然環境と調和した生産方法の実験は、自由主義経済にあり、資源の大量消費と競争政策を推し進める日本にとっても参考とするべきところがあるのではないだろうか。
地球の資源、環境に限りがある中で、経済成長を競い合うだけでは、いきつくところが見えている。その壁を乗り越える鍵は、地域コミュニテイの再生と富も含めた循環型社会の構築が握っている。
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