2009/8/15

軍記ー19  戦記

見ると隊長である。
他の者はどうしたかと。

私は、自分が一番最後であると言う。
雨合羽をかしてくれと、言う。
合羽も軍刀も拳銃さえ持っていない。
きっと弾穴へ落ちてしまったのだろう。
間抜けなやつだと、さげすんだ。

とっさに嘘が出る。
「私は、マラリアで寒気がして我慢が出来ない。どこか小屋のあるところで休みたい。」と言う。

彼は、私をにらみつける。

私も負けずににらみかえす。

喧嘩になったら、撃ち殺してしまうぞとばかりの気迫をこめて。
しばらく無言。

隊長、空を見上げて「雨も止むだろう。先に行って小屋でも見つけておいてくれ。」と優しくなる。

私は、うなずいて歩き出す。
やっと歩いているように。
見えなくなってから、どんどん歩き出す。
後ろを見ないで。

道々、どうしてあんな事になったのだろう。
対手が、立って来れば拳銃を引き抜いていたかも。
勇気があったのか、分別を忘れたのか。
皆の仇を、とるつもりだったのか。

少し心配になってきた。
無事本隊に着いたら、大変な事になるだろう。
いっそ、殺してしまった方がよかったかな、など考えながら歩いていく。

もう、どうにでもなりやがれ。
後は、後の事だ。
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