2001年宇宙の旅
たまにはキューブリックの話でも。映画の批評でも書いてみようかなぁと
題して「キューブリックのみかた」
さざえんさんの足下にも及ばない、アホみたいな批評ですから参考にはならないでしょうがww
で、今日はとりあえず「2001年宇宙の旅」を。「時計じかけのオレンジ」とか「博士の異常な愛情〜また彼は如何にして心配するのを止めて水爆を愛する様になったか〜」←(ただ書きたかっただけ)なんかはまた後日
以前にも軽くストーリーには触れてるんだけど、今回は真面目に解説
【あらすじ】
時は近未来の2001年。(つか今となっては過去)宇宙開発が進んでいる世界が舞台
ある日、突如月面に不思議な物体が出現した。それは未確認の物質で構成された、不気味な黒い板だった。関係者はそれを「モノリス」と呼んだ
モノリスは特殊な電磁波を発しており、それが原因で宇宙バスが月面着陸を拒まれる事件が発生。その後も月への連絡手段が途絶えた状態が続いた
未知の物体の事実を人民が知れば混乱が起ると考えた宇宙協議会は、「月面の一連の事件は月における伝染病の蔓延を防ぐためのものだ」との虚言を公表。しかし到底理解し難い理由を人々は信じられるはずがなかった
モノリスの登場から数か月後、木星調査のために宇宙空間を飛行中の宇宙船の中で事件は起る
【解説】
あらすじとか言ってみたけど、この映画にはあらすじも何もなかったりする 笑
上手く言えないけど、モノリスの存在だけ頭に入れておいて「映像作品」としてこの映画を観るのがベストかなと。あとはキューブリックの言わんとする哲学的な部分にも少し気をかけておけば完璧(?)
それが一般的なこの映画のみかたかなと、多分w
話が断片的だし、とにかく脚本を手掛けたアーサー・C・クラークの文章は相当難解らしいので(本の虫だった俺の先輩が言ってた)
もう気付いてきたと思うけど、とにかくこの映画は普通じゃないんだ。話は難解だけど頭を使う必要は無い。一般的な映画鑑賞の概念を取り払って、感覚的にこの映画を観てほしい。以上!
さて、心構えができたところでこの映画の神髄に迫りますか
まず究極までに洗練された映像美
ラストの主人公が宇宙の果てを彷徨うシーンなんか、40年以上前に作られた映画だと信じられない。CGもない時代にどうやってあの不思議で斬新な映像を撮れたのか?
話によると、あれはカメラのシャッターを常に開放した状態で、様々な色の光を撮影した映像なんだとか。当時なりの工夫で未知の世界の映像を表現したわけだ
次に、キューブリックの代名詞とも言える広角レンズの使用
映画監督であると同時にカメラのプロフォッショナルでもあったキューブリックの作品において、カメラのレンズが果たす効果はあまりにも大きい。あいにく俺には専門知識が無いけれど、広角レンズを使うことによって圧迫された緊張感が画面に生まれることは一目瞭然だ
人間の真理や狂気などを描くキューブリックの作品では、この広角レンズは作品全体に緊迫感を印象付けるために欠かせない要素となっている
そしてレンズにおいての匠は、「バリーリンドン」においていかんなく発揮されることとなる
映像美というのは、なにもカメラに限っただけのことではない
キューブリックのデザイン性にも目を見張るものがある
この映画を見ていて思うことは、アドバンスな風潮とモダンな風潮とか上手く調和したデザインがあちらこちらに見られるということ
例えば月面に向かう博士が途中訪れる宇宙ステーション。細長く真白な通路には、丸くコーディネートされた赤い椅子がいくつも置いてあり、独創的かつ未来的なセンスが視覚から伝わってくる。個人的にも大好きなシーン
この辺の美観センスがいわゆる「キューブリックらしさ」であり、アドバンスとモダンの融合とも称せるわけだ。このような独特なデザイン性は後に「サイケデリック」など流行のものも取り入れながら、「時計じかけのオレンジ」に生かされることとなる
キューブリックは視覚で魅せるだけじゃない。音響にも独自のこだわりがある
2001年宇宙の旅や時計じかけのオレンジにおいて、キューブリックは「映像と音楽の融合」をみごとに表現した
この映画の中でもあの有名なテーマ(ほら、ボブ・サップの入場曲)以外にも、「青く美しきドナウ」などのクラシックの名曲が使われている
それは音楽をBGMという使い方をしたのではなく、先述した様に、まさに「映像と音楽の融合させた」のである。宇宙船の中の優雅なひととき、ゆっくりと進む船……たった一曲のクラシックが、ここまで映像の美を高めるものなのか、と関心してしまう
映像作品?もしかして音楽作品?
いやはや、考えるほどこの映画は難解だ(笑)
そして、最後にキューブリックからのメッセージ性の強さ。史上最高の映画監督であるキューブリックが何より大事したのは、やはり映画の本質を握るその「メッセージ」であったと思う
それは言ってしまえば映画監督として当然のことなのだが。ただ彼は他の監督より秀でた要素が多過ぎたのかもしれない
この作品はいわば黙示録の様な形式でメッセージを伝えている。おそらくアーサー・C・クラークの原作における趣旨も、黙示録に隠された様々なメッセージを探るところにあったのでは、と思う
つまりモノリスとは「神」や「未知」の象徴であり(陳腐な表現しかできない自分が情けない)それは世界中の人間に、宇宙における人間の想像を遥かにしのぐ力を示そうとしたのだ
これを「アポロ計画とか宇宙開発への批判だ」とか社会的なところに目を向けて考えてはならない。つまらなくなる
なお物語りの中盤〜後半にかけてはHALと呼ばれる高性能コンピュータ(宇宙船内のすべてのシステムを制御している)と乗組員とのスリル満点の戦いが中心になる。キューブリックの風刺はこの時期から、近い将来に訪れる「コンピュータ時代」への風刺をしていたわけだ
人間の作った機械など、計り知れない宇宙の神秘の中では何の役にも立たない、塵同然であるということだ
いずれにせよ解き明かし様のない謎と神秘と未知に満ちた宇宙の奥深さの片鱗、そういったものを伝えるのがこの映画の主題のひとつであったと思う
そうひとつ。ひとつなのである
黙示録に隠蔽された(あえていやらしい言い方をしてみる)その他のメッセージは、ぜひあなたに見つけてほしいと思う
モノリスが意味するものとは?宇宙とは、そして私たち生命の存在する理由とは何なのか?(物語は類人猿が人間への進化を遂げるワンショットから始まる。その場所にもモノリスが飛来している!!)
SFの原点であり頂点ともいえる最高傑作。正直俺はこの映画をSFというジャンルのに分類したくない!!それほど偉大な映画なのだ
キューブリックの完全主義におけるこだわりと才能が凝縮されたこの作品の世界観を、視覚で、聴覚で、なにより第六感で味わっていただきたい!!!!
PS/絶対に続編の「2010年」は見ないこと!!この映画の衝撃が薄れる最悪の続編だ!!(原作はアーサー・C・クラークの続編だが、当然監督はキューブリックではない)