キーボード
それはロックのライヴ・パフォーマンスにおいて、絶対的に必要なパートではありません
ギターやドラムなどの様に、ロックを成立させる上で無くてはならない楽器と比べれば、その需要の差は明らかでしょう
なんていう、中学2年生でも思い付きそうな、実に簡単な問題提起から今日の記事はスタートします
しかし当然ながら
この40年に渡るハードロックの歴史が、幾多の天才キーボーディストを輩出したのもまた事実
彼らの存在とは則ち、キーボードを主体としたロックサウンドの質の高さを裏付けるものであり、彼らはキーボードによってロックを進化させた瞬間の生き証人でもあるのです
キース・エマーソンの登場から約40年、名キーボーディスト達がロックに与えた影響を振り返ってみましょう
いまさらですが、先程から何度も繰り返し述べている「キーボード」について注訳があります
ここで述べるキーボードとは、言うまでもなく録音時に使うマニピュレート機材や、MIDI音源を作成する際の機械などではなく、あくまで「ライヴ・パフォーマンスを構成するパート」としてのキーボードです
ハモンドオルガンから近年のデジタル・シンセサイザーまで、ロックのライヴで使用される鍵盤楽器を、ここで言うキーボードと定義します
それでは、これから何人かの神キーボーディスト達をシリーズにわたって紹介しようと思います
第一回目はこちら
ジョン・ロード(元DEEP PURPLE)です
って、一度はキース・エマーソンに振っておきながらそりゃないよwって感じですが
当然ながらエマーソンは、ロックサウンドにキーボード(シンセサイザー)を導入したパイオニアであり、まさに世界中のキーボード・プレイヤーの教祖なのですが
しかし、実は俺がキーボードへの魅力を初めて感じたのが、このジョン・ロードのパフォーマンスと出会ったときだったので、一回目はこの人ということでw
ロック史をなぞる上ではいかんせんズレが生じてしまいますが、どうかご了承下さい♪
さて、ロードを語るためにはパープルを語らなければなりますまい
俺がパープルのライヴ映像を初めて見たのは小学校5年生のときだったと記憶しています
今更言うことでもありませんが、ベテランのプレイヤー達を揃え、ハードロック界を牽引したパープルの存在は、あまりにも偉大でした
俺はDVDで第2期のライヴを観ました。当時の彼らの力量というのは、ロックの「ろ」の字も知らなかった俺から見ても一目瞭然でした
ステージ上で躍動するリズムとサウンド。そしてそれが一瞬のうちに果てしないエネルギーへと昇華し、見る者の目の前で爆発するのです
抽象的な表現ですがそのパフォーマンスは、メンバーの技巧とカリスマ性の両方によって生み出されている、そう感じました
ツェッペリン同様、彼らはなるべくしてなったヒーローなのです。パープルはハードロックの開祖でありながら、ハードロックが生んだ奇跡だと思います
さて、本題に戻りましょう
パープルのライヴDVDを見て、一際珍しく見えたのがジョン・ロードその人でした
ロックって、ギターとベースとドラムがいて、がちゃがちゃやるものじゃないの?
しかし、彼が演奏しているのはオルガンです。小さなオルガンとシンセサイザーを器用に弾き分けながら、リッチー・ブラックモアのギターリフに合わせて旋律を奏でているのです
ハードロックのライヴという舞台でキーボードを演奏する彼の姿が、当時の俺にはいささか不自然に見えて仕方ありませんでした
しかし、この場違いなはずの男、何かがおかしい
めちゃめちゃ……
めちゃめちゃ、かっこいいじゃん!!
何を隠そう、そのライヴの主役になっていたのは彼だったのです。今までただの「オマケ」にしか見えていなかったキーボードが、前へ前へと踊り出てメロディーを刻んでいく……
キーボードによって作り出されるロック。こういう音楽もあるんだなあと鮮烈な衝撃を受けたのを今でも覚えています
リッチーのギターとの音の駆け引き、ソロのときの美しい速弾き……(速弾きの技術はあまり評価されていないみたいですが、俺からしてみればなんであんなに速く指が動くのか不思議ですw)
開いた口が塞がらないとはこのことを言うのでしょうね
脚にベニヤ板を敷いたハモンドオルガンを倒れるくらいに激しく揺らすパフォーマンスも有名で、リッチー並みの「ライヴで魅せる」技術においては、未だ右に出る者はいないと思いますね
「SPACE TRUCKIN'」でエフェクターを滅茶苦茶にいじって奇怪な電子音を出す場面も好きです。周りのメンバーがその音に合わせているのもまた凄いですが・・・
とにかくいつも彼のプレイにはくぎづけになります
華麗なソロもジョン・ロードの魅力なのですが、俺としてはパープルの楽曲の中でしばしば見せる、独特のリズムに乗ったバッキング。これが大好きです
つまり、ロックのみならずブルースやジャズ、クラシックなど様々な音楽を網羅し経験してきたジョンにだからこそできるバッキングと言いますか、リズム・伴奏形式共にジャンルの枠を超え、ミックスされた奏法なんですよね
例えば、「SMOKE ON THE WATER」のAメロでは音自体はシンプルでロードらしいバッキングですが、そのリズムは実にブルースしていて、コンスタントにグルーブ感を高める演奏だと思います
また、「HIGHWAY STAR」ではモーツァルトの曲のメロディをそのままリフに応用しています
その部分の音自体はルート→3音→トニック→hiルート→ルートといかにもクラシカルですが、ハードロックのノリを一切損なわずに、よりハイなメロディへと高めています
この様にクラシックとロックを融合させ、親友のリッチーと共に「ネオクラシカル・ロック」の先駆者として名を刻んだ実績もあると言えます
ところでジョン・ロードといえば、キーボードをギター用のマーシャル・アンプに繋いで演奏したことで有名です
パープルがツェッペリンや当時のロックバンドと大きく違う点がキーボードの有無であり、それがパープルの魅力であったわけですが
ロードは、自分のバンドにキーボードが入ることによってロックの厚みを損なうことを嫌い、ロックに似合った粗く太い音を求めたのです
その結果行き着いたのがマーシャルアンプの使用だったわけですから驚きですね。たまにギターと聞き間違える様なワイルドな音が個性的です
結論として、常に柔軟なロードの個性的な発想こそが、パープルのロックサウンドを創り出す原動力となったことに異論はないでしょう
常にジョン・ロードとは、俺の中で最も尊敬するプレイヤーなのです
現在、パープルを抜けたロードはたまにブルージーなソロアルバムを出す程度で、ロックバンドでの活動は行っていません。6年前に肘を痛めた影響もあるのでしょう
今となっては白髪頭の品の良いおじいちゃんになってしまいましたが、ぜひあの時の様なロックをまた見せてほしいですね。そう、親友のリッチー・ブラックモアと一緒に
長らく一緒に活動していなくても、ロードは今でも変人(笑)ブラックモアの数少ない理解者なのですから
ブラックモアとロードみたいな親友の関係に憧れたりしますねw
パープルの映像を見た当時の俺が、ロードに影響されて習っていたピアノに少しばかり熱を入れたという過去を、最後に書き加えておきましょう