今日は消防学校へ。
入校中の救助専課の学生に、緊急援助隊の活動報告を行うため。
こんな話聞いても、分からんのやないかと思いながら。
学生は真剣に話を聞く。
俺がこの課程で入校した時のことを思い出す。
俺は当時、救助隊が大嫌い。ただのいじめにしか思えんかった。何も教えてくれんのに、あれやれこれやれ。できんと怒鳴られ、懸垂させられる。学校にも行きたくなかったが、誰もいないという事で渋々。
やる気がないのでどうしょうもない。一生懸命走らんし、ロープも登らん。毎日怒られ、救助隊からは『お前帰れ!』と毎日言われる。よくブチ切れて『帰りたけど帰れんたい!俺は救助隊になりたくないんやけん、ほっとけ!』と。若いとは恐ろしい。よくあんな事いいよった。
教官からも何度も呼び出され。結局嫌いなまま、この課程を終了。当然成績もドベ。
この救助専課が終了し、帰り支度中にある人に会う。ある救助小隊長。『なんでそんなにお前は救助隊が好かんのか?』と聞かれ正直に答えた。そんな風な奴ばかりじゃないぞと言われるが俺に聞く耳は無い。
『お前は昔の俺みたいや。もし、同じ所属になったら救助隊にするけんな!』と言われるが笑って終わらした。
そして1年後、異動してきた。当時の俺は髪はグリグリパーマでリーゼント。後ろ髪は長く、公務員には見えない風貌。ただ毎日職場に行き現場で火を消し、それが嫌でもなく。非番日に野球がやれればよかった。ただただたんたんと毎日を過ごしよった。その人が来てからはいつも後ろ髪を引っ張られ、『次の異動でお前は救助や!覚悟しとけ』と。でもその人が来てから救助隊の雰囲気が変わった。現場活動に必死になり、毎日頑張っとる。そんな感じやった。
その姿に惹かれ、いつしか救助隊員に。もう12年。今では偉そうに講義までして。先日俺が新任の時に勤務した先輩に会った。その人も『お前、昔と全然違うやんか!』と。俺は多分、あの人と会わんかったら問題起こして消防辞めとるはず。毎日、どうでもいいやしか思いよらんかったから。
今日、俺の話を聞き、少しでも何かを感じてくれた人がいてくれれば。緊急援助隊の活動報告なんてすぐに忘れる。でも、何も目的がなく消防に入り、救助隊も希望せず、いつの間にか12年間務め、今では偉そうに喋る。
いつの日か俺みたいに『あの日の話を聞き、救助隊を目指しました』という奴が現れてくれれば・・・。

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