アメリカ、テキサス州の片田舎、真夜中の12時?その孤独な男は自宅の居間兼ベッドルームの片隅にあるMTRのスイッチを押します。
おもむろに、28年前にかったエレキギターを膝にかかえると長い長い爪でもって弦を弾きます。
もちろん、チューニングなんてモノはされていません。
”ド”みたいな音をだしてみます。つぎに”Eマイナー”のような和音をだしてみます。しかし、チューニングされてないのでそれは、厳密な”Eマイナー”の音ではありません。
それから、おもむろに男は歌い始めます。しかしそれは、ギターのだす音程とはなんの整合性も持っていません。
男はとりあえず、今日”脳内”で起こった出来事について歌います。
歌っているうちに感情が高ぶってきます。知れず知れずその歌声は外の闇夜と共鳴して大きくなってきます。
ふと、気がつくと隣の農夫の家の部屋の明かりがついていました。歌声が大きくなりすぎて起こしてしまってようです。
男は怯えたような目でキョロキョロすると、あわてて歌声をささやくほどに小さくして唇をマイクにひっつけます。男の歌う歌詞はいつのまにか、その農夫に対する憎しみの詩に変わっていました。
翌日、男は愛用のピントが合わないカメラをもって一週間ぶりに家の外にでます。ようやく完成した46枚目アルバムのジャケット写真を撮る為です。
一枚目は家の庭の木を撮りました。
二枚目は道の電信柱の影から、道のつきあたりにあるナンシーの家を撮りました。
三枚目はフレームに電信柱が写らない様に道の真ん中まででてナンシーの家をもうすこし正面から撮りました。
男は2005年初めて人前でライブコンサートを行いました。

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