到着早々の獲物にすっかり気を良くし、さらに高まる集中力。
夢中になってランガンするうちに、ふと気付くと車から1q以上離れていた。
6月といえど日差しは暑い。
足場の悪い場所なので普段の何倍も神経を使っている。
潮の様子を見るにあと30分程しか釣りはできない。
まだアカメを釣ったことはないが、2年前にルアーをつついて消えていったあの光景ははっきりと覚えている。
このルアー、このアクション。
アカメがいれば間違いなく出てくるはず。
車の方向に戻りながらもう一度丁寧にポイントを撃つ。
それにしても暑い。
汗だくになりながら、それでもキャスト、アクションに一切のブレはない。
次の瞬間にバイトがあるかもしれない・・・。
恐ろしいほどに感覚が研ぎ澄まされているのがわかる。
〜憧れをこの手に〜
あともう少しでもとの場所に戻ってしまう。
潮はみるみる引き、テトラはほとんど水面から出てしまっている。
場所的にもあと数投。
ひときわ大きく張り出し、水中に影をつくるテトラ。それに複雑に絡む乱杭。
ルアーは狙い澄ました地点に着水。流れにのせラインを操作。
ゆっくりと沈むルアーが見えなくなった。
鋭いジャークを一発。
ミノーがギラッとヒラを打った次の瞬間、テトラの影から黒い影が飛び出した!!
アカメだ!!!
興奮してよく思い出せないが、アワセはしっかりと決まっていた。
水面を突き破って激しいエラ洗い。
決して大きな魚ではないが迫力は十分だった。
他の魚とは何かが違った。
アカメだけがもつ存在感。
牡蠣のついたテトラ帯からすばやく離し、水の残る浅瀬に一気に抜き上げた。
まるで初めてルアーで魚を釣ったときのように・・・。
気づくと足元に赤い目の魚が横たわっていた。
夢にまでみた憧れの魚が目の前に・・・。
ついに釣ったんだ・・・。
手が震え、しばらくその場に膝をついて座り込んでしまった。
デジカメを取り出し、必死にシャッターを切るがすっかり落ち着きを失いどれもブレてしまう。
あとで家で見ると最初の5枚程は滲んだような写真ばかりだった。
しかし、これも良い思い出。
弱らぬうちにもといた水の中にそっと離した。
ゆっくり泳ぎ去るアカメ。
感無量。
しばらくその場にへたり込んでしまった。
思い出したように携帯を手にとり、何人かの釣友に報告。
休みの日だっただけに、まだ寝ていた方もいたにもかかわらずみなから祝福の言葉をもらう。
その中でも一人の釣友の言葉が心に染みた。
「考えて、行動して、努力して釣った世界で一匹だけの自分の魚」
釣ったという実感こそまだないが。
気が付くと潮は完全に止まり、強い日差しで辺りはむっとした熱気に包まれていた。
服は泥だらけ。
顔にまで泥が飛んでいた。
きっとアカメが暴れたのだろう。
自然の中で遊び、魚釣りとはそういうもの。
最高だ!
使用タックル(昼間の釣り用)
ロッド:ダイコー アルテサーノ Tide Stream Special 96M
リール:ダイワ ルビアス3000
ライン:サンライン キャストアウェイ♯1.5+ナイロンリーダー40lb(FGノット)
ルアー:ジャクソン アスリートミノー7S改
釣ったときこそ1人でしたが、この一匹にたどり着いたのはこれまでに出会ってきた多くの釣友のおかげです。
この場でもう一度お礼を言わせていただきます。
ありがとうございました。
天気を見方につけ、この後、まだまだ釣ります。
お楽しみに・・・。

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