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2010/2/25

ぬらし絵について  ぬらし絵

にじみ絵とも呼ばれるヴァルドルフ教育で行われる水彩画のことについて。

にじませることが目的では無いので、先入観が入らないように、シンプルな表現のぬらし絵という名称を私は使用しています。紙を濡らすので!

なぜ紙を濡らすのかというと、色そのものを体験するためです。

ひとつの色が持つ様々な濃淡。色と色が出会う時の動き。それを体験するためにあらかじめ画用紙を濡らします。(輪郭が出ないようにするのが目的ではありません。)

同じ色でも濃淡によって、気持ちが落ち着いたり、騒がしくなったり、塗ってしまった濃さがどうしても強く感じすぎて薄めたいという衝動が起きたり。

大人が、赤・青・黄・緑のそれぞれの「色」だけをこのような技法で、体験することができると、それぞれの色が呼び起こす「感情」があることに気がつきます。そしてその呼び起こされる「感情」が人によって違うことがわかります。

例えば、黄色を体験すると、
「ウキウキした」
「白い画用紙の色との境界がはっきりしなくて頼りない感じがした」
「あんまり広がってほしくなかった
など様々な感想がきかれます。
ここでの感想はすべて「感情」です。

ほかには、
赤を塗って「りんご」を思い出したり、血を思い出したり、色を通して「物質」を思い浮かべたりします。これは表象ですね。想像力が色を「物質的な何か」と結び付けます。

子どもは大人と感性が違うので大人のようには、内面で、心の中で「名づけ」や「説明」はしません。本当に水や土や風や暖かさ・冷たさと戯れるように、色と戯れることができるのです。

幼児期の―色に対する先入観や思い込みなどから自由な状態の時期に、色そのものを体験することで、色がつむぎだす物語や、色と色が出会うところには新たな、無限のグラデーション(可能性)と、緊張と調和を体験するのです。

現代的な生活では、3歳児でもすでに理詰めの説明や絵本も含むメディアから受ける先入観で感受性が硬くなっている子どもが多いのは避けられないことかもしれません。図鑑や絵(名称を覚えさせるための!)など与えられる情報が実物を見るより先!が当たり前の時代ですから。


ぬらし絵の「緊張」とは、例えば、3原色で行うと、「うわ〜、赤と青引っ付かんといて〜」という子どもがいます。筆を止めてじっと見入っています。これはある種の緊張状態です。しばらくすると「わ〜、葡萄色になってきた〜魔法や!」と緊張が「何か」に変容します。面白くなった子どもは・・子どもですから、徹底的に色を追求します。そうどんどん混ぜ合わせるのです!もう最後には茶色になります(笑)

(私の場合、調和のとれた時点でそーっと声をかけて止めてあげることも稀にはしますが、基本的には子どもの呼吸が一段落するまで、そのまま見守ります。初めて体験するお子さんは単色で行います。様子を見ながら2色、3色と移行していきます。)

ぬれた画用紙の上で、子どもたちは「色」だけの世界で様々な可能性を「体験」しているのです。

身体を作るという物質的なお仕事が主の子どもは、まずは触覚や身体機能を発達させることが後の自我感覚や言語・思考感覚が育つ基となるように、色を体験することが、後の感情の領域―共感・反感・好き・嫌いなど(アストラル体)を育む基礎となると見通しているのです。

身近に自然が豊かに変化する様子を体験できた時代は必要なかったことかもしれませんね。しかしそれだけではなく人間の「自我」が人類史の中で成熟に向うなら、感情の領域をどう育てるか?という視点は前時代よりも「自我」の成熟には不可欠になるでしょう。




付録

ゲーテの研究論文を編纂するという仕事をしたルドルフ・シュタイナーは、ゲーテの色彩論をさらに研究し、補完・発展させました。色彩の本質とは何か?という研究です。
シュタイナーが、ゲーテの影響を受けたから取り入れたというのではなく、さらに深く色の本質に迫ったのです。それは、「人間とは何か?」という普遍的な認識へと統合されるものだからです
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