新文芸坐「日本映画監督協会 創立70周年記念 映画監督が愛した監督 日本映画監督協会70年の70本+1」1000円
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恋人たちの時刻」
澤井信一郎監督作品で、脚本が荒井晴彦です。ストーリーは面白いんですよ、主人公の女性が以前の自分を否定して、他の人物になりすまし、知り合った男にその以前の女性(自分ね)を捜させる、なんて良いですよ。ただ、見る前から危惧していた主演の二人、野村宏信と河合美智子の演技には予想以上にやられました。ま、あそこまで下手に出来れば上出来です。アメフトの選手で、江口洋介が出てますが、顔は今と少し違うようですが、喋り方・仕草は今と全く同じでした。石田純一は全く何も変わってません。野村の初体験の相手に宮下順子が出ています。
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秋津温泉」
25年くらい前に一度見て、凄い映画だと思った記憶があるのですが、細部に関しては全く覚えてませんでした。歳月が経ち、再度見直してもその思いは変わらず、凄い映画だという思いを再確認しました。約15年くらいにわたる話ですが、通常字幕で「その何年後」などと出るのを、全て登場人物の台詞として言わせ、観客に時の流れを教える、というのは観客に緊張感を与え、非常に効果的かも。岡田茉莉子の30代になってからの目の感じが柴咲コウに似ていて、もし再映画化されるのであれば、演じてもらいたいものです。劇中に流れる音楽も無駄な盛り上げ方をせず、淡々とそれでいてシビアな世界を表現していて素晴らしい。長門裕之の駄目な男ぶりが身に染みます。
新文芸坐オールナイト「日本映画監督協会創立70周年記念オールナイト第三夜 真夜中のエロス(2)“ピンクと呼ばれた映画たち”」1800円
映画の前に先週に続きトークショーがありましたが、今回上映の5作品全ての監督、渡辺護監督、山本晋也監督、浜野佐知監督、滝田洋二監督、サトウシキ監督が来たので、話がまとまらず、是非もっとじっくり時間を作って行ってもらいたいものです。ホスト役の壇雄二監督も皆さんの話を聞くのに相当苦労していたようですし。予想通りでしたが、山本晋也監督は話の内容は面白いのですが、喋りすぎです。
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(秘)湯の街 夜のひとで」
渡辺護監督、脚本は大和屋竺の変名である日野洸。モノクロのピンク映画で、カラミのシーンはカラーになるというパートカラー作品。初めて見ましたが、カラミのシーンと言っても今のピンク映画の様なとは全く違いました。ブルーフィルムの制作者が主役なのですが、劇中時代劇を撮影するシーンで女性が襲われるシーンとかでカラーが使われ、何だかイマイチ。通常のカラミ・シーンも2回ほどしかなく、少ないです。ま、普段見られない貴重な映画だという事だけでしょう。ロケ先は渋川温泉です。16ミリでの上映のため、プリントの状態が悪く、途中中断しました。
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痴漢夜行列車」
山本晋也監督。トークショーで監督が言うには小津の「東京物語」からパクっているという事でしたが、それは言われないと見ただけではわかないかも。確かに田舎から出てきた父親二人が、東京に住む息子と娘に会う、という展開はなるほどと思いますが、それだけで小津を想定するのは無理なのでは。劇中、BGMで志村けんの「東村山音頭」や「エデンの東」のテーマ曲とか流れていて、これはソフト化を想定していない時代の映画だからでしょうか。ちなみに1978年の映画です。あ、それとタイトルの痴漢夜行列車というのはオープニングとエンディングだけで、中身には全く関係ありません。
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痴漢電車 下着検札」
滝田洋二監督。竹中直人が竹中ナオト名義で、松田優作、松本清張の真似をして出演。密室殺人のトリックとか面白いですが、この映画あたりから疲れが出てきつかったー。なんと言ってもこの映画で5本目。特に「秋津温泉」が重かったのがジワジワと効いてきていると思われます。
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はしたない妻の蜜壷」(「小田かおる 貴婦人O嬢の悦楽」改題)
浜野佐知監督、今回の特集上映で唯一現役でピンク映画を撮っている監督。と本人が言ってました。小田かおるが双子の姉妹を一人二役演じてます。吉行由美が出てますが、3Pでのカラミだけで本番は無し。
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ロスト・ヴァージン やみつき援助交際」
サトウシキ監督。冒頭、手錠をかけられた佐々木日記を見て、3年ほど前の「ピンク大賞」で見たのを思い出しました。ただ、この時は飲み会の帰りに行ったので、寝てしまってきちんと見ていないのです。カラオケボックスで日記が歌う「プール」の歌詞は脚本の今岡信治です。この映画は、2002年の作品なので当然ながら現代的でした。約10年くらいにわたる話ですが、この映画は「秋津温泉」とは違い、全て字幕で説明していました。「秋津温泉」の凄さを実感しましたよ。ただ、主演の佐々木日記は、約10年にわたるドラマを見事に年代別に演じていて、お見事。彼女は佐々木ユメカの妹ですが、現在はピンク映画には出演していないようです。ていうか、芸能活動自体をしていないのかも。お姉ちゃんよりタイプなので、残念。


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