なんだかもう、半年くらい前の気さえする。
それだけ、この1ヵ月間は、密な時間の中で生きていたように思える。
ティザー型のチラシは、あの体裁での配布は、
アンジェリカまでが限界でしょう、は、僕も廣田氏も、そして
バウス上映の仕掛け人である
bokusatchii氏も、共通の認識だった。
そして彼らと僕を繋ぐ共通の地、吉祥寺。
たぶん、僕たちは、それぞれがしっかりと、
吉祥寺という地の空気を掴んでいたと思う。
その地の最大公約数に、訴えかける宣伝告知がなんであるか、
僕らはわかっていたように思う。
bokusatchii氏が、全ての交渉、手配、申請、ネット中継等を実行した
ドカンの実演イベントもそうなのだ。
吉祥寺という街に、あれはフィットする。
「マイマイ新子」は、
アニメファンや映画ファンに観て貰いたい作品ではない。
むしろ、そうでない人たち。
アニメも映画もあまり観ないが、
しかしサンロードでは毎日買い物をする主婦や、
部活やサークル帰りに
この商店街を利用する学生が観に来て欲しい…。
そして、近郊からも訪れる人々の多い、おしゃれな街でもある。
そういったクロスオーバーする層、
最大公約数を取り込める「一枚の紙」を作ってくれと言われて
燃えない訳がないじゃないか。
たかが一枚の紙キレ。
だが、たった一枚の紙キレが、人と人とを繋げる。
一枚の紙キレに、「遊ぼうよ」の願いを込めた諾子。
僕も同じことがしたかった。
そして一枚の紙キレに、生命をも吹き込む作家と出会った。
昨日、吉祥寺バウスシアターで配布した限定のポストカード。
限定ポストカードの企画は、廣田氏の発案。
「やっぱ来場者特典でなにかオマケをつけてあげたいよね」と、
僕も全く同じことを考えていたので、とにかく作ろうということになった。
「折り紙」「正方形のチラシ」からの発想で
“ポストカード型のペーパークラフト”というコンセプトを
僕の中では温めていた。
廣田氏も同じように“付録”的なもの、作品の中でキーワードとして
使われているグリコのオマケのようなものを来場者特典に
したいと考えていた。
そう、「遊び心」がキーワードだ。
無数のアイデアが出たが、僕自身、本業が忙しい時期でもあり、
限られた時間と納期内で何ができるかが、勝負だった。
2種類(最終的に6種類になってしまった!)を作ることにしていたので、
いずれにしても、金魚のペーパークラフトは絶対外せないと思っていた。
また、組み立ての難易度の高いもの、パーツの多いものはバツ。
1枚の用紙で作成できるもの。
できればただ、切り取って折るだけで作れるもの。
ポストカードに使用する用紙の斤量でしっかり作れるもの。
親子で作れるもの。会話ができるもの。
出来上がりに感動のあるもの。
…などなど、他にも縛りも設けて調べだした。
そして一枚の紙キレに、生命をも吹き込む作家と出会った。
我流切紙人・諸行無常なる日々
http://t-kdayo.cocolog-nifty.com/kirigami/
昨日、川崎先生をバウスシアターへご招待した際に、
先生が作って下さった“ひづる”を頂戴した。
このポストカードの型紙から、先生がお作りになるとこうなる。
やばい、僕はこれ見てるだけで涙が落ちてくる。
先生のブログを発見し、先生の作品群を拝見し、
そして、この金魚の型紙を見たときには、もうこれしかないと思い、
失礼を承知で、すぐにブログにコメントさせていただいた。
こちらの主旨を深くご理解いただき、
すぐに丁寧なメールにて返信して下さり、型紙の使用を快諾して下さったのだ。
先生の作品は、総じて
「切り折り紙」と称されるジャンルなのだそうだ。
これをご覧の皆さんも是非覚えておいていただきたい。
そして、ひづるの友達たちも…。
いただいた時、言葉を失った。友達がたくさん…。
作品をご覧になる前から、先生はなにかを掴んで下さっていた。
実は撮影中、手は震えてくるし、涙がぽたぽた落ちてくるし、
僕の胸に去来したもの…、うまく伝えられない。
紙キレ一枚に詰まっている優しさ、そして願い。
想像して欲しい。
さらにだ!!!!
「これは一枚の紙ではありませんが…」と。
え?
え? え??
・・・・・絶句…。
昨晩は、廣田氏とそのご友人たちがいらっしゃっていた。
そしてbokusatchiiドカン隊長が、
劇場入口でMAGネットの再放送情報のチラシ配り隊をやっていた。
先生からいただいた「ひづる」やテントウ虫を廣田さんや隊長、
バウスの井手さんにも見ていただけた。
そして、何より、先生がいらっしゃれるこの日に、
まるで合わせるかのように決定したポストカードの配布。
先生の作品を手にされたかたがたとご覧いただけたこと、
さらに、
「実は私は、記憶のない頃ではありますが、山口県の出身なんです。」
この作品が山口を舞台にしているということを知り、驚きましたと、
そんなお話しもして下さった。
上映前に、先生から作品を頂戴したおかげで、
僕は、稲穂の赤いてんとう虫で泣けてしまった。
偶然ではない必然。
そうだよ、願いがどこかに繋がってなきゃ、
なんのために生きてんだよ。
劇場から出て来るお客様の顔を、僕と先生はしばらく見て、
そしてバウスをあとにした。
「皆さんのお顔を拝見していて、
この作品が伝えたかったことが良くわかりました。
ありがとうございました。」
眼の奥に光りのあるかた。
そして、握手させていただいた先生の手が、
想像通り、柔らかく温かかったことは言うまでもない。
我流切紙人・諸行無常なる日々
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……・・・
例の3D小太郎は、実はこの「マイマイサイコロ」カードと
このポストカードに、たったこれだけのために描いたものだ。
製作委員会から許諾を頂く交渉は、すべて廣田氏が行なってくれた。
だから、出来上がったデータはまず廣田氏にPDFで送る。
僕もその日の仕事が終わってからの作業だったので、
毎回深夜であったが、データを送ったのち電話をし、彼とやりとりした。
とりわけ、このポストカードのデータを送ったあとは楽しかった。
「いや、これは3Dじゃないし、千年の魔法関係ねーし!!」
「しかもTOBIDASUって書いてあるけど、飛び出してねーし、ズラしただけだし!!」
「やべー、涙出てきた!あんたバカか天才すぎるー!!」
「わははは!そのじいさん描くだけで1時間掛けちゃったよわははは!」
渋い声でゲラ笑いする廣田氏が面白かったし、僕もゲラゲラ笑った。
で、僕らはなぜこうも大笑いしているかというと、
お互い同じことを頭の中で浮かべていたからだ。
製作委員会からは、この部分はNGって言われるだろうなと。
でも、どうせダメでも良かったというか
半ばダメだろうなあと思ってやってるわけですよ。
で、まず、僕は廣田さん笑わせたいし喜ばせたいじゃん。
そして、ちゃんと通ったしね。
まさしく千年の魔法じゃな!
廣田さんの本日のエントリー
■くみたてひづる■も読んでね。
http://mega80s.txt-nifty.com/meganikki/2010/04/post-f1fc-11.html
★★★
バウスシアターに置いているフライヤーが、
ものすごい勢いでハケてしまっていて、先週末にまた緊急増刷した。
参加中
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