コツコツとコツコツと、
積み重ねてきたお店が鳴門にある…。
お兄さんが牧場、そして本人が精肉店で働いていることから、
その利を活かし「焼肉店を経営したい」というのが最初のご相談であった。
しかし焼肉というのは、いわゆる晴れの日に食すもの。
僕も相当な肉好きだけど、
じゃあ、焼肉店に月に1度行くことがあるだろうか。
そういった業態で、彼が開業したいというその立地で、
果たして日々の商いが成り立つのか。
また、我々プロの眼からすれば、
素人開業からいきなり高いハードルだということも明らかだった。
もっと、来店して下さるお客様が
普段使いができる居酒屋業態とし、
いわゆる居酒屋メニューの中において新鮮で旨く、
そして他店よりも安価で提供できる「肉」という食材を
ウリにしたお店をつくった方が良いのではないか。
焼肉店を開業したいという、彼の思い描いた夢も大切にしてあげたい…。
ならばなおさら、まずは1店舗目を成功させて、
2店舗目でその夢を叶えさせてあげたい。
…そうしてオーナーの想い、我々の想いを重ね、
コンセプトをつくりこみ完成したのが、
徳島県鳴門の「肉問屋じゅわっち」である。
立地診断に始まり、資金長達、勝てる業態コンセプト、
デザイン・設計・施工、メニュー開発、
弊社提携先繁盛店での現場研修、調理指導、接客指導、
看板文字デザイン作成、販促物・広告制作、メニューブック作成
食器コーディネイト・販売、
食材・酒販業社斡旋、開店後の店舗検診…等をフルサポート。
オープンから丸2年を経過し、今回フードコストを見直し
さらにはあと5年は戦えるよう、メニューの大改定を行なった。
先日、そのお手伝いに鳴門まで行ってきた。
この店の、若きオーナーである岩朝氏からの、
最初の相談から実に3年半。
やっと彼の生まれ育った街、
そして彼のお店に行くことができた。
僕の主な仕事は、初期段階でのお客様からのご相談窓口であり、
他のプロデュースや店舗設計デザインに専念するスタッフのバックアップ。
彼らがやらない雑用も全て僕が行う。
そして、仕事が進んで行けば、むしろお客様から遠ざかり、
フェードアウトしつつ、弊社スタッフの後ろ側へとポジションを移す。
日本全国が弊社のフィールド。
現在はベトナムにまでそのフィールドを拡げている。
そうした全国各地へ乗り出していく弊社スタッフを
後ろから支えることも僕の仕事。
直接、お客様と関わることはなくても、
そうして前線で頑張っているスタッフを、
後方支援することで間接的にとはいえ、
お客様の力になれれば本望だ。
けれど、僕も感情を持ったひとりの人間。
この人にもっと関わりたい、
直接なにかをお手伝いさせていただきたいと、
心を揺さぶられる人と出会うこともある。
岩朝氏もそうだった。
実際にお店を起ち上げるまでの1年半、
彼とはずっとやりとりをさせて頂いていただけに、
いざ、仕事がスタートすれば
やはり彼のお店に直接関わりたかった。
けれども僕には僕の役割がある。
他に全力でしなければいけないことがある。
彼のお店には、ついぞ関わることはできなかった。
正直なにかをしたかった。
しかし出る幕はなかった。
2年が経過し、今回やっと関われるチャンスが来た。
鳴門駅に降り立ち、
そして彼のお店に足を踏み入れた時は、感無量だった。
…普段仕事のことは、
自ブログでは触れないようにしようと思っている。
けれどやはり、嬉しかったから。
僕は今のこの会社にいなかれば、
(以下、失礼とは思いつつも)
徳島県の、片田舎の、小さな小さな商店街の、
それも外れにある、こんなお店のことなんか
絶対に気にすることもなく
知ることもなく
生きているのだろうと思う。
もしも、お近くに行かれることや、
近辺にお住まいで、まだ行ったことのないかたは
是非、行って楽しんで来て下さい。
まさに地方のシャッター通りに明かりを灯す
ステキな居酒屋です。
肉問屋じゅわっち
徳島県鳴門市撫養町斎田字大堤342
088-683-0830
月曜定休
弊社調理担当の和田から新メニューの数々を自分のものにしようと
奮闘する岩朝氏(手前)
以下、名物になるであろう料理を数点…。
こんなお店が近くにあったらなあと、
お手伝いさせていただきながらも思うのである…。
参加中
ポチっと押して下さると嬉しいっす