背後からいきなり、錆ついたブレーキの音が聞こえたかと思ったら
次の瞬間、右足に電気が走って地面にぶっ倒れてましたよ。
「あぶないじゃないっ!!!」
女性の声がした。
ちょ、ちょっとまて!まてっつーの。
あぶない?なにそれ?え?え?え?
雨に打たれ、暗い歩道で腹ばいになりながら
なんかママチャリめいた自転車が遠ざかっていく。
ビニール傘さしてるし、無灯火だしわからん。てか、てか、てか、
てか痛えー!右足いてえー!!
あまりに突拍子もないことに遭遇すると
何も考えられなくなるもんだな。
呆気にとられすぎると声も出なくなるもんだな。
整理すると、
帰宅途中、普通に歩道を歩いていて
後ろから女性のような声の人間が操るママチャリに轢かれ
そして俺を轢いてったママチャリはもういない
ってことだな。
ちょっと待て!!落ち着け。
いや、なんか笑ってるし俺。こみあげてきてるし笑い。
雨に打たれ、やっと上体をおこして
あぐらかいて笑ってるこの状態が変!
歩道たって、これ相当広いぞ。
で、こういうときに限って、この通りには誰もいねーし。
障害物ないぞ。
しいて言えば俺か!俺なのか障害物!!
俺はいったいどういう確率で轢かれてんだ?
しかも轢き逃げ。わはははははは!!!
いてぇー。右足のふくらはぎとアキレス腱とこ
すげーいてー。
★追記
自宅へ徒歩1分の距離。とりあえず足は動いた。
足の痛みで気づかなかったけど、洗面所の鏡で全身を見てみたら、
右わき腹と腰の上辺りに内出血。
だんだん痛くなってきた。
後ろからの自転車の通行を、邪魔するような歩行はしていなかった。
無灯火、傘さしでの運転、そして暗い道。
全身まっくろの僕への視認が遅れたのだろう。
しかし…。
どうやら世間的に問題視されているピストのブレーキのことと
すり替えるつもりは毛頭ない。
けれど、ブレーキがついてても、整備不良で止まらないんじゃ意味がない。
ちゃんと操作ができなきゃ意味がない。
ハンドルがついてても、ちゃんと曲がれなきゃ意味はない。
なにより、心が曲がってる人が運転していたんじゃ意味がない。
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