アヒルと柴犬と絵を描くことを愛してやまない、気まぐれでルーズな学生の日常事件簿。
2006/9/15
だれかの迷子はとびらをたたいた。
こつこつこつ、こんにちは。こちらはだれかの迷子です。
中のだれかは ふるえあがった。
こわくてこわくて ふるえあがった。
これがうわさの だれかの迷子。
ストーブには火がともっているというのに、体のふるえはとまらない。
だれかの迷子はとびらをたたいた。
とんとんとん、こんにちは。こちらはだれかの家ですか?
いいえ、いいえ、違います。
中のだれかは必死にこたえた。
だれかの迷子はとびらをたたいた。
どんどんどん、こんばんは。中に入れてもらえませんか。
外はとっても寒いのです。早くしないとこごえてしまうよ。
待って、待って、少しだけ・・・・・・
もう、だめ。おなかもとってもすいている。
もう、入っていいでしょう?
ばりっ、ぐしゃ、ぺろり。
だれかの迷子はとびらをひらいた。
中のだれかは 声をあげるひまもなかった。
中のだれかは死んでしまった。
この狂ったような雪の寒さは、悲鳴さえもかためてしまった。
だれかの迷子はどこかへきえた。
雪はずっとやまなかった。
ああ、だれかの迷子が泣いている。
寒い、寒い。早くしないとこごえてしまうよ。
だれかの迷子はとびらをたたいた。
■□あとがき□■
なんというか物語。
・・・・暗い。

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