テレホン童話のこと
11月1日、やっと3枚と2行半の作品が仕上がった。本当は26日だかに終わって入稿したのだが、手落ちやいろいろ流れのまずいとこ、分からないところがあって、編集担当の長崎夏海さんのアドバイスを頂くことになった。それも3回にわたって。3回も手直ししたのだから、きっと名作に仕上がっていることだと思う。ということで、ぜひこの作品を電話やインターネットで味わってもらいたいと思う。
電話 03−5306−2201
インターネット
http://www.tohgo.gr.jp
ちなみにこのテレホン童話は真言宗豊山派東五仏教布教センターが運営しているものである。作品は私のほかに、長崎夏海さんや最上一平氏、奥さんのばんひろこ氏などが書いている。
そこで今日は、お世話になった長崎夏海さんの紹介をちらっとさせてもらう。そう思って、長崎夏海のデビュー作で代表作の「A・DAY」(アリス館)を探しにいったら見つからなくて、ぞっとしてしまった。捨てるわけがない。きっと誰かに貸しっぱなしになっている。その誰かが思いつかなくて寒気がした。それほどの名作である。1986年の作品で、出版前はペンネームを矢沢夏海にしていた。どういうことかというと大の矢沢永吉ファンだったからである。それが季節風という雑誌(高橋秀雄が参加している児童文学同人誌・ホームページ
http://kisetsufu.hp.infoseek.co.jp/)の広告のページに載っている。紹介記事をそのまま転載するとこうだ。
「主人公 晃(中一)は、内部からわきたつエネルギーをどこにむけたらよいのかわからないまま、手当たり次第に常識や規則を壊していく。そのためにツッパリというレッテルをはられてしまうのだが、「自分は一体何をしたいのか」という真摯な問いを放棄することなく持ち続けていく。長崎夏海が今あなたにたたきつける」
この作品で長崎夏海さんは日本児童文学者協会新人賞をとり、一つの世界を切り開いていった。現在は幼年児童文学を数多く出版されている。近刊は「あおいじかん」(ポプラ社だと思うが、講談社かもしれない。孫が持っていってしまって手元になくなってしまった)で、「哲学と希望の時間」を子どもたちが心と体でしっかりと受け止めていく、そんな物語だ。長崎さんは幼年という子どもたちを仲間として捉えて、子どもたちの輝きの全てを描き出していこうとしている。そんな姿勢にも高橋秀雄は感動させられている。思いで深い作品といえば、「トゥインクル」の中の「ノブ」という作品である。この作品は情景としては「A・DAY」の中に出てくる1シーンだが、また「トゥインクル」で輝かしくよみがえった。この本で長崎さんは日本児童文学者協会賞を受賞している。
今から二十年も前の私はこの「ノブ」の良さが分からなかった。既成の感動などというものではくくれない興味深さに答えてくれているのに、私は気づけなかった。情けなかったけど、何度も、たぶん今までに十回以上読んでいるだろう。レコードがコンポになったりしたけど、この名作は永遠だ。ざる頭のノブが勉強をしに晃の部屋に来る。もう私はこれだけでうるうるできるようになった。少年たちのある日のなんでもないできごとに、文学の偉大さと美しさを感じられるようになった。それはこの作品のおかげでしかない。もし、作品のおもしろさが分からなかったら、何度も読むことだ。読んでも読んでもつまらなかったら、それは初めからつまらない作品だ。読んでいくうちにつまらなくなる作品もまた、つまらない作品だ。先がどんなに分かってしまっていようと、いい作品は読めば読むほど文字一つまでが懐かしく思え、うれしくなり、主人公達といっしょになれる作品だと思う。なんだかこう書いていてもどきどきしてくる。そんな作品に大勢の人が出会って欲しいと思う。
今日はひょんなことから、長崎夏海さんを紹介させてもらった。

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