田村せい子作 岡本よしろう画 福音館書店
一気に読まされた。苦労されたと思う「生い立ち」が描かれている短編に、ウジウジした暗さがないのだ。幼児期の話は戦争末期だ。防空壕の中で、空腹もトイレも我慢できた、としか書いていない。
この前向きな生き方は、作者そのものであるのだけれど、すごいのは60歳を過ぎてから、一か月も行っていない小学校、そして、中学校、高校、大学を取り戻そうとしたことだろう。梅花女子大学で富安陽子氏と出会い、この本でのデビューだ。
辛い話と受け取ってしまうであろう、読者のために≪幕間 おばはん四人組の墓参り≫がある。父親の生誕百年に姉妹で墓参りをするのだが、大阪のおばちゃんが楽しい。タクシーの運転手をへこます「壷阪寺」のくだりは笑わずにいられない。おばはんたちは何でもよく知っていて、運転手に、
「よう知ってはりますなあ」
「かないまへんなあ」
をいわせ続ける。
それが、おばはんたちの遊びになる。誰かが資料を説明すると、
「よう知ってはりますなあ」、そして必ず誰かが、
「かないまへんなあ」と続けるのだ。
生きる力、何のために学ぶかを教わったような気がする。なんと、富安さんが帯でも書いていた。
「自分を書く」から始めるしかないと、講座や教室で言わせてもらってきたけど、田村せい子さんも実証してくれた。
内田麟太郎さま
まさに協会の華、赤いバラですねえ。トゲはないですけど。
絵本の河さま
小学生以下ですよ。毎度。真面目で素直なハガキが来ると心配になります。ま、時々ですけど。
女性教師さまはお元気でいらっしゃいますか。
木枯しモンジャロウさま
あのバラの女王さま、私たちの健康にも、体調にも気遣ってくれますね。感謝しなければなりません。♪バ〜ラが咲いた〜バ〜ラが咲いた……♪
創作日誌
昨日のおふざけから一転、すごい本の紹介ができた? 今日も一枚くらい書けそうだ。ちょっと焦らされる。

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