佐藤いつ子 KADOKAWA
「はじまり」の瞬間が、美しくはかなさを漂わせて、小さな思いを生みだしてくれる。そして、いくつもの「心の揺れ」とともに、思わぬ結末へと。それが、新しい明日の「はじまり」。繊細で、葉を伝って宝石での上に落ちた、涙の叫びのような描写が、いたるところにあって、付箋で、本がぶわぶわになるほどだった。
悲しみには疎くなったけれど、美しさの感激には涙もろくなって、ずっと目をはらして読んでいた。始めに付箋を貼った第一章の文章――。
「息をつめるようにして、そろりそろりと廊下を進んだ。しんとした廊下で、歌声は波になって、まっすぐ自分に打ち寄せる。――」と続く3行。涼万(りょうま)が早紀の歌声を聞く場面だ。そこを読んだとに2、自分が書き始める前に、読みたかった本だと思ったのだ。
ソノリティ、私たちには数えきれないほどの「はじまり」があったと気づかされた。たかだか、合唱コンクールの練習中の中一たちの、心の揺れかもしれないけど、それを両手で受け止めた谷川の水のように、こぼさないように、この本は「はじまり」を与えてくれたと思う。「きっかけ」というのは、いつも神事のように厳かだったのかもしれない。そう読ませてくれたのだ。
「はじまり」があれば、終わりもと思うかも知れないけど、本は終わっても、登場人物全員に新たな、本物の「はじまり」を残してくれたと思う。そう言える本だった。
内田麟太郎さま
「かわずしょうがっこう」は遊びすぎだと思いました。ふと、会社の後輩の河津美代子さんを思い出したもので……へへへ。でも直します。昨日はずっと酔っぱらいでした。久々です。
創作日誌
日光は寒かった。で1時間、川で頑張ったけど、奥さんの実家のBBQが待っているので、大谷川を後にした。
昨日の釣果は情けなかったけど、同じく寂しい釣りをしている一平さんに報告のハガキを出しましょう。
今日は久々の神楽坂。「うつのみや童話の会賞」のチラシを機関誌に挟み込む作業がある。さて、出かける準備をしましようか。
そうそう、せいのあつこさんが「うつのみや童話の会」のホームページを立ち上げてくれた。どうぞいらしてください。

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