ラリー・コーエン監督のライフワークともいうべき“悪魔の赤ちゃんシリーズ”の記念すべき第1作『悪魔の赤ちゃん』をリメイクした作品。昨今のリメイク・ブームも遂にネタが切れたと見えて、こんな作品にまで手を出してしまうなんて、何と言うか、世も末ですな。
リメイクなので、毎度のように前作との比較になってしまいますが、役柄の設定が変えられ、ストーリーも多少変更されてますな。生まれたての赤ちゃんが怪物として暴れ回るというコンセプトだけは同じで、スプラッター度も高くなっていて、いわば、現代的アレンジとしてはそこそこの線だったと思われますな。
でも何ていうか、前作は、病院で医師や看護師を殺した後、一人で勝手に民家や街に出て暴れていた赤ちゃんが、今回のリメイク作では、母親と共に家に連れ帰っているというのが違う点で、ほとんど家の中とその周辺でしか話が展開しないのが、スケール感が乏しい気がしましたな。あと、前作では早々に殺された母親がここでは生きていて、以後、赤ちゃんの異常な行動を黙認しているという新手の展開になっている訳ですが、これが終始母親目線的なのも、前作にあった赤ちゃんの怪物性が薄れている原因になっているようで、やはり前作のような父対赤ちゃんという図式の方が、生んだ子に悩む父という“フランケンシュタイン物語”とリンクさせた方が面白味が増したような気もしましたな。
まぁ前作も、話は面白いんですが、ラリー・コーエンの演出がモタモタしていて、せっかくの面白そうな物語が台無しになっていたのも事実で、ま、その辺りは“ネタ殺しのコーエン”と異名を取ってるだけの事はありましたが。なので、この勝負、どっこいどっこいといった感じでしょうか。(★★1/2)
It's Alive
カラー/2.35/ドルビー・デジタル/84'16"
●ホクテンザ2/チケット屋券(¥800)/10人(11:00からの1回目)

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