
スピルバーグの新作。スビルバーグも、タマに『プライベート・ライアン』や『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』みたいな肩すかし映画を撮る時があるので、油断出来ない訳ですが、今回は久しぶりに“大当たり”でした。
原作はSF小説の古典、前作=オリジナル作品は、SF映画の名作というハンデを前にしての、まさに160キロのストレート真っ向勝負的な潔さ。「宇宙からの侵略とは、こんなに恐いもんだゼぇ〜」と、まるで『激突!』や『ジョーズ』の頃の、初心に帰ったスピルバーグ演出が絶好調で、久々に“恐いSFホラー映画”を観たような気がしました。
多分、僕が今幼少の頃だったら、確実にトラウマになっているだろうスピルバーグの演出は、ダコタ嬢の狂いっぷりに納得してしまう程の恐怖をな内包しており、子供の頃「サンダ対ガイラ」を観て山に行くのが恐かった自分を思い出したりしてしまいました。それ程の恐怖感が、この映画には確実にある!
戦闘シーンが無いのが物足りない、世界的な広がり感が伝わらない等、不満を指摘されたりしていますが、この映画にそんなものは不要。スピルバーグが描きたかったのは、宇宙人の侵略によって、地球人が壊滅していく姿であり、男前で、荷物の上げ下ろしを得意としている男でも、未確認生物の脅威の前には為す術もないという悲劇であり、それを、オーソン・ウェルズ風のドキュメンタリー・タッチで描いてみた訳ですね。
映画を見終わった後、ふと、夜空を見上げてみよう。そこには、何かが、潜んでいるかも知れない。そして、夜が明けると、何者かが、侵略の手を伸ばしているかも知れない。そんな事を想起させる、50年代のパルプSFを一気に読み漁ったような、そんな錯覚に陥る傑作でした。賞狙いはもうイイ。やはり、野におけスピルバーグ! (★★★★★)
War of the Worlds
【カラー/1.85/ドルビー/116'12"】
●ナビオTOHOプレックス・シアター1/ほぼ満席/当日券(\1200)/20:35からのオールナイトの1回目

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