『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイク。またリメイクですか…。前作から34年ぶりだそうで、前作を小学生や中学生の時に観た人たちが、オッサンやオバハンになって観に来ている人が多いのか、観客は、その世代の人たちばかりが占めていました。ま、ワタシもその世代なもんで…。
巷では、“感動が無い”“時間が短い”“見せ場はCG特撮だけ”と散々な評価を得ている作品のようですが、それを覚悟して観たら驚きました。メチャクチャ面白いじゃないですか! 誰や、つまらんとかオモロないとか言うてるヤツは! そんな不評の流布はヤメて頂きたいものですな、ホンマに。お陰で、見逃してしまう所でしたよ。驚異的なオープニング・ショットなんて、ナンか神がかり的なものも感じたし、それを見れただけでも元は取ったと(単純なミーハーですな)
(以下、ネタばれ有りなのでご注意)
前作との比較で言えば、一番強調されているのが“感動が無い”との事ですが、そんな事はありませんゾ。“地図”が死ぬシーンや“元市長”が死ぬシーン等、ワタシは泣いてしまいましたよ。単に涙もろいだけかも知れませんが。まぁ、確かに、前作の、例えばシェリー・ウィンターズおばさんが死んでしまうシーン程のインパクトは無いかも知れませんが、要は撮り方の違いでしょうね。前作は、一人死ぬ度に、これでもかこれでもかと引っ張って、一人一人の死を丹念に描いていたので、我々もついつい、引き込まれてしまった訳ですが、今回の場合は、人は同じぐらい死ぬんですが、その描き方が凄く淡白。死んでも決して引っ張らずに、「死んだか。では、次行こ、次」って具合に、淡々と描かれているんですな。
演出的に言うなら、元市長が死ぬシーンなんて、感動を盛り上げようと思えばいくらでも盛り上げられる(現に、『アルマゲドン』風の展開にもなってたし…)シーンになっているにも関わらず、「死んだか。では、次行こ、次」ってなっちゃってるので、感動は薄い薄い。娘も、泣いてる暇もないぐらい(心の底では「彼氏が無事でよかったぁ〜」ナンて思っていたかも)の呆気なさで、もうちょっと泣いてやれよと思ったぐらい。前作では、妻を亡くした夫が「私はここに残る」と言って、またまた感動させたけど、今回は、そういう風に引っ張るシーンなんて皆無なんですな。大体、元市長が死んだかどうか、ハッキリ分からないんだから、それを確かめに行く(ちょっと無謀だが…)事ぐらいしてやればイイのに、ナンて事も思ったりしましたです。
結局、ペーターゼン監督は、人の死にそんなに興味無いって事なんでしょうな。こんな事故が起こったら、人は必ず死ぬ。その死をいちいち描いていてもしょうがない。そんなのはブラッカイマーかキャメロンに任せておいて、オレは次から次へとスリルとサスペンスが連続するアトラクション的なデザスター・ムービーを作ってやるんだ! という意気込みが感じられる仕上がりになっていて、つまり、そういう面から観ると、この映画は非常に良く出来ていると思った訳です。出来れば、プロペラを止めるのに、最後に自分の体で飛び込んで欲しかったんですが…(そうすればスプラッター的にも盛り上がるのに…)。
日本ではどちらかというと、『ディープインパクト』や『アルマゲドン』『タイタニック』のような、“泣き”が入ったパニックものの方がヒットする傾向にあり、この作品や『ツイスター』『ダンテズ・ピーク』のような、単にスリルやサスペンスだけに終始したパニックものは、あまり受けない(『ツイスター』はヒットしたようですが…)のは残念ですが、今回の場合、オリジナル作品とは違う面からアプローチしたペーターゼン監督は偉いと思いましたね。
あと、最後、海上に逃げ延びた生存者たちに、しつこく、まるでホラー映画の怪物みたいに襲い掛かるポセイドン号が素敵でした。最後の断末魔のようなシーンでしたが、ああなってしまったら、期待した『ポセイドン2』(刻一刻と沈み行く逆転した船内で、密かに積まれていたプルトニウム争奪戦が展開するストーリー)が作れないじゃないか! (★★★★)
Poseidon
テクニカラー/パナヴィジョン(カメラ&レンズ)=2.35/ドルビー/dts/SDDS/97'12"
●梅田ピカデリー4/鑑賞券(金券屋=\1300)/ガラガラ(10:00からの1回目)

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