“デジャヴ”と聞くとつい、「♪デジャヴぅ〜、カスバの女ぁ〜」という歌が聞こえてくるんですが、誰が唄っていたのかというと、松田優作なんですな。だからついつい、ケダるい女のブルース的な映像を想起してしまう訳ですが、この映画は大違い。ハリウッド映画のファーストフード・プロデューサー・ブラッカイマーと、同じくノン個性の監督スコット弟が組んだ映画だけに、何も考えずに爆発する映画に仕上がっております。
実際、タイトルになっている“デジャヴ”に関連した事柄とはあまり関係なくストーリーは進むので、ナンか聞いていた話と違うなぁと思いつつ観ていたら、あれよあれよという間に意外な方向へストーリーが展開、そのあまりの強引っぷりに、逆に潔さを感じてしまいました。
そもそも、テロ事件を捜査するポリス・ミステリーものが、途中から、どういう訳か超SF的設定にシフトチェンジされてしまい、「ンなアホな…」というコチラの思いをおいてけぼりにして、話はドンドンSFの彼方へ遠ざかってしまうという展開が、普通ならムチャクチャで訳が分からぬ所を、適度なアクションと適度なサスペンスを絡めて、まるで万華鏡のようなカラフルでマジカルな仕上がりぶりになっていて、乗ってしまった以上、もう途中で降りる事は出来ないジェットコースターのような勢いで、最後まで突っ走ってくれたという、そんな映画になっていました。
ハッキリ言って、メチャクチャ面白かったです。ポリス・アクションとSFとの融合という意味では、『ヒドゥン』が代表作ですが、こういうミスマッチな組み合わせの場合、余程上手く作らないと興ざめになってしまう所ですが、この映画の場合、スリリングでスピーディーな展開が上手く功を奏して、取り敢えず“観ている間”は、面白くなっていますね。勿論、観終わってジックリ考えると、色々突込み所があるにはあるのですが…。そういう意味では昨年の『M:I:3』のような、そんな強引かつノリ最高な映画でした。
ただ、ブラッカイマー映画全体に言える事ですが、カー・アクションのカメラワークとモンタージュがヘタクソな事。これは今回も感じました。どうしてあんなアングルになってしまうんでしょうね。70年代のカー・アクションを骨の髄までカブりついた者からしたら、納得出来ないですな。せっかくのアクションが台無しというか、最近はCGも絡ませてあるので、ついついそうなってしまうのか分かりませんが、凄く勿体無い気がしますね。それとも、単なる監督のセンスの違いなんでしょうか。
とにかく、最近観た映画(あまり観ていませんが…)の中では出色の出来栄えでした。「観ている間はダカダカ文句云わせない! 云うなら観終わってからにしろ!」という、威勢の良い声が聞こえてきそうな力強い映画でありました。ディテールを確認する為に何度も観たい映画もありますな。 (★★★★1/2)
Dejavu
カラー/パナヴィジョン(カメラ&レンズ)=S35=2.35/ドルビー/DTS/SDDS/125'00"
●ナビオTOHOプレックス・シアター3/前売予約券(1200円)/ガラガラ(8時10分からのレイトショー)

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