前作『28日後…』は、ゾンビ映画のバリエーションでありながら、ゾンビ映画特有のテイストを上手く醸し出す事に成功し、また同時に終末感も出せていた事で、ゾンビ映画としてある一定の地位を確立した佳作だったと思いますが、今回作られたこの続編も、監督が変わっていながらも、前作にあったテイストが上手く引き継がれて、これもゾンビ映画マニアにはタマらない魅力が詰まった映画だと言えますな。
開巻早々の、一軒家に閉じこもった何人かの人間たちのシーンは、まさにロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』のムードであり、あのシーンだけで、現在の状況が掴めてしまうという意味で、なかなか上手いオープニングだったと思えますね。
そしてまた、一旦収まったかに見えたゾンビ騒動が、あるちょっとした事件がきっかけとなって、また大きく広がっていくというミクロからマクロへと変貌を遂げる展開も、この手の映画を面白くする要因になっていて、それが決して強引ではなく自然に描かれている辺りも上手い展開だと思いましたね。こういうのがゾクゾクさせてイイんですな。
“走るゾンビ”に関しては、好みの別れる所ではありますが、ゾンビではなくウィルスに冒されておかしくなっちゃった人と解釈すれば納得が行く(実際、そうだし…)と思えるので問題ないかと思われ、ちゃんと知恵が働くところ(火責め作戦をかわしていたし)なんかも描かれていたのも律儀でイイですな。
ねずみ算式に増えてしまったゾンビに困って、正常な人間も全て殺しまくるという後半の展開も、ある意味リアリティがあって面白かったというか、実際こういう事件が起きると、ああいうシーンが繰り広げられるのではないかと思われ、それをストレートに描写しているのもポイント高いですな。やはりこの手の映画は、生きている人間側が余計パニックを増大させてしまうというのも昔からある常套手段ですからな。
という事で、暗い終末感もインパクト大で、最近のゾンビ映画としても出色の出来栄えだと思いますね。ヘンに笑いに走ったりせず、正々堂々と真正面から勝負しているところにも好感が持てますデス。 (★★★★)
28 Weeks Later
テクニカラー/デラックス・プリント/1.85/ドルビー/DTS/SDDS/100'20"
●TOHOシネマズ梅田・シアター6/ネット先売券(¥1200)/満席(21:15からのレイトショー)

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